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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」15 ~根釧経済入門~

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」15 ~根釧経済入門~

えぞ財団 2022年8月15日

北海道経済入門とは?


小樽商科大学4年生(休学中)の神門崇晶(カンドタカアキ)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。北海道経済の基本的な部分を理解していくことを、インフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。

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神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学4年生(休学中)。
同大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務め、2022年1月より「北海道経済入門」がスタート。また、2022年6月より木下斉さんとの共同連載「データで見る地域のキホン」がnoteにてスタート。


◯ 導入


前回は十勝の経済・産業をみました。既存産業であり晩成社・依田勉三から続く第一次産業(特に畜産業・畑作)、新たな基幹産業としての芽をつけ始めている宇宙産業について、詳しくみました。

今回は、十勝と地理的にも近い根釧地域をみていきます。
「根釧」とは、根室振興局と釧路総合振興局が管轄する地域のことを一般的に指します。振興局の管轄はそれぞれ異なりますが、地域的なつながりが深いので、一緒にみていこうと思います。
また、十勝と比較するとより一層面白い内容になっていますので、前回の「十勝経済入門」も読んでいただけると幸いです。

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」14 ~十勝経済入門~

◯ 本日のインフォグラフィック


◯ 根釧ってどんな地域?


根釧には13市町村(2市10町1村)が属しており、以下のように分類されます。

根室:根室市、標津町、中標津町、別海町、羅臼町
釧路:釧路市、厚岸町、釧路町、標茶町、白糠町、弟子屈町、浜中町、鶴居村

面積は14,498㎢(北方領土含む)で、北海道全体(83,424㎢)の17.4%を占めています(十勝より広い!が、北方領土を除くと少し小さい)。
人口(令和3年住民基本台帳)は約29.7万人で、北海道全体(約522万人)の約6%を占めます(根釧全体だと十勝と同規模)。




1985年以降、生産年齢人口・年少人口は減少の一途をたどり、2045年には人口が半減する推定です。前回に見た十勝よりも明らかに人口減少・高齢化のスピードが速いことが明らかです。



2020年時点では団塊世代(71-73歳)・団塊ジュニア世代(46-49歳)のコブは目立ちます。全国推計で団塊世代のコブがなくなる2045年には、団塊ジュニア世代(女性)のコブが最も大きくなっており、介護・医療の需要と供給のバランスが崩れると考えられます。2045年時点での団塊ジュニア世代(女性)のコブの大きさは札幌市でも推定されている現象です。
「20~24歳」のコブが最も小さいのは、この年齢になると他の都市部に人口が流出しているため、と推測できます。つまり、この年齢の人々における雇用問題、就きたい仕事がないのだと考えられます。

◯ 根釧の歴史


江戸時代の根釧
道東で最も早く開かれた場所は意外と根室市や釧路市ではなく、厚岸町です。松前藩によるアッケシ場所が寛永年間(1624~1643年)に開設されたことに始まります。
江戸時代における道東(東蝦夷地)は、「対ロシア防衛ライン」という大きな存在意義がありました。寛政4年(1792年)にロシア使節ラクスマンは厚岸を経由して松前に上陸し幕府と交渉したりと、この根釧エリアは歴史的にロシアとの距離が近いのです。そのため、寛政11年(1799年)、危機感を抱いた幕府は東蝦夷地を松前藩の管轄から直轄地へとしました。

明治期からは、当初は根室を中心に開拓されていきます。明治2(1869)年1には開拓使根室出張所が開設され、明治5(1872)年には函館・浦河・宗谷・樺太の各支庁とともに開拓使根室支庁が設置されました。
開拓使廃止後の三県一局制度の時は、函館県・札幌県・根室県の三県が置かれ、釧路や紋別あたりまでの広範囲を管轄しましたが、すぐに北海道庁が全域を管轄することとなります。
明治中頃から後期にかけて、道東の経済的中心地は釧路へと移ります

釧路の発展
今年、釧路市は札幌市などと共に市制100周年を迎えます。
釧路の発展を支えたのは、石炭と木材・製紙でした。これには、釧路の地理的優位性が絡んでいます。どちらも港湾からの積出が必要ですが、釧路は産炭地・製紙工場から港湾までの距離が近いということが大きかったのです。

また、製紙を製造する際には多くのエネルギーを必要としますが、現在でも石炭がその30%近くを占めています(日本製紙連合会、2021)。そのため、まだ石油が中心となる前は、①石炭が採掘でき、②そのまま近くの港湾から移出することができる、という石炭産業にとっても、製紙産業にとっても大変優れた場所だったのです。
釧路の石炭産業は、1920(大正9)年に太平洋炭礦株式会社が創業したことに始まります。製紙業は、同年富士製紙(現・日本製紙)が進出しました。この2大産業を柱に人口増加が進み、1920年の5万人からピーク時の1980年には、22.7万人まで人口が増加しました。

しかし、石炭産業が衰退するとともに、市全体も衰退していきます。
太平洋炭礦(株)の後継であるコールマイン株式会社が石炭を採掘していますが、今では最盛期(1977年度)の261万トン/年と比較して、10%ほどの採掘量(27万トン、2020年)です。
2021年には大正9(1920)年から市の製紙産業を支えていた現・日本製紙が製紙工場を閉鎖し、残るは1960年から釧路での操業を開始した王子製紙のみとなっています。この2社には製紙業以外に、アイスホッケーチームをもっているという共通点もありました。日本製紙は釧路市に拠点を置く「日本製紙クレインズ」、王子製紙は苫小牧市に拠点を置く「王子イーグルス」です。しかし、現在は2019年から「ひがし北海道クレインズ」、2021年から「レッドイーグルス北海道」としてそれぞれクラブチームとして活動しています。

では、現在の根釧の経済・産業をみていきましょう。

◯ 根釧の経済・産業


ここからは、北海道庁の「平成30年度(2018年度)道民経済計算年報」を中心に見ていきます。


名目総生産(経済全体の大きさ)は、1兆2600億円で北海道の約6.4%を占めています。経済活動別名目総生産でみる産業構造は、第一次産業が11.6%、第二次産業が24.1%、第三次産業が63.4%です。第一次産業は、農業が68.5%、水産業が29.6%のウェイトを占めています。
産業構造は、十勝とほとんど同じような特徴をもっています。

① 第一次産業の構成比が比較的高い
② 製造業の中でも食料加工業のウェイトがほぼ半分
③ 卸売・小売業の構成費は低いが産業従事者は多い

が挙げられます。第一次産業に特化して、農業と水産業をみていきます。

農業


主に畜産業について以下のデータからみていきます。



グラフから分かるように、乳用牛の飼養戸数は根釧合計で十勝を大きく離して全道シェア35%を占めています。ただ、一戸あたりの飼養頭数は十勝が198頭に対して、160頭あたりと約40頭の差があります。

ただ、別海町は日本全国で第3位の農業算出額(662.6億円)であり、95%近くが乳用牛の産出額です。第31位に標茶町、第42位に中標津町がランクインしています。根釧においては、この3町が農業王国となっています。

水産業


以下のデータを参照します。


道内海面漁業漁獲量を見ると根釧で全道28%を占めており、産業として大きいことがわかります。しかし、漁獲量の推移を見ると釧路ではさんま・すけとうだらの生産量が減少しているため全体として減少傾向です。対して、根室ではほたてがいやさんま等の生産量が増加しているため、全体の生産量も増加しています。ただ、1998年と比較するとほぼ半数の漁獲量になっています。

経営体数の推移を見てみましょう。
1998年と比較すると約40%の減少になっており、中でも釧路では団体経営体の減少率が顕著であり、根室の減少率は他地域よりも緩やかです。

ただ、「後継者がいる」経営体(2018年)は、釧路が33.7%、根室が46.6%と半数以上が後継者不足問題に陥っています。根室の経営対数の減少率が緩やかである要因は、後継者がいる経営体の比率が1998年よりも改善したからだと考えられます。また、団体経営体数が根室は北海道でも最も多く、このことも影響していると考えられます。


漁業における経営体の多くは1000万円以下の販売金額規模が多く、農業のように「稼げる産業」になっていないことが特徴的です。釧路と根室の販売金額規模別経営体数の推移を見ると、釧路では500万円未満の経営体数が減少した分、500~1000万円規模の経営体数が増加しました。

対して根室では500~1000万円規模の経営体数が減少し、500万円未満の経営体数が増加しています。経営対数の減少率こそ他地域よりも少ないですが、「稼げる経営体」は減少したということです。

◯ まとめ


2021年、十勝・帯広市が釧路市の人口を抜いて道内第5の都市になりました。
十勝は既存産業である農業の大規模化・高付加価値化を長年かけて行ったことで、全国的にも「稼げる産業」にすることができた結果、地域全体の衰退を食い止めなんとか維持をすることができた、というのが個人的な見立てです。

対して、根釧地域はそれまでの既存産業であった石炭や製紙産業の衰退に加え、既存産業を稼げる産業にまですることができなかったため、地域全体の衰退につながっていったのではないかと考えられます。

ただ、記事にもあるように十勝・根釧と明確に分けるのではなく、「ひがし北海道」という道東全体で維持していくためにはどうすれば良いのか、ということを考えていくべきだと思います。


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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」14 ~十勝経済入門~
【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」16 ~オホーツク経済入門~

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