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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」16 ~オホーツク経済入門~

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」16 ~オホーツク経済入門~

えぞ財団 2022年9月1日

北海道経済入門とは?


小樽商科大学4年生(休学中)の神門崇晶(カンドタカアキ)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。北海道経済の基本的な部分を理解していくことを、インフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。

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神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学4年生(休学中)。
同大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務め、2022年1月より「北海道経済入門」がスタート。また、2022年6月より木下斉さんとの共同連載「データで見る地域のキホン」がnoteにてスタート。


導入


前回は、根釧(根室+釧路)の主要産業である、農業と水産業について詳しくみました。十勝と比較して経済を見ていくと面白かったと思います。例えば、大規模農業化が進む酪農に関しては、十勝管内の市町村よりも別海町の方が日本で3位になるほど農業産出額が高く、第31位に標茶町、第42位に中標津町がランクインするほど、酪農王国であることがわかりました。また、水産業では根室と釧路における販売金額規模別経営体数の推移を比較し、釧路の方が小規模な経営体数が根室の1.5倍近くあることもわかりました。

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」15 ~根釧経済入門~

今回は、根釧地域と産業構造が似ているオホーツクをみていきます。

また、十勝・根釧・オホーツクと、いわゆる道東は今回で終わりになります。この3地域の経済産業、歴史などを比較しながら並列してみていくと、より一層面白く読んでいただけるかと思います。それでは、見ていきましょう!!!

本日のインフォグラフィック


オホーツクってどんな地域?


オホーツクには18市町村(3市14町1村)が属しており、以下のように分類されます。

北見地方:北見市北見、置戸町、訓子府町
紋別地方:紋別市、興部町、滝上町、雄武町、西興部村、遠軽町、湧別町
網走地方:網走市、北見市常呂、大空町、佐呂間町、津別町、美幌町、清里町、小清水町、斜里町

現在の北見市、遠軽町、大空町、湧別町は市町村合併によってできた自治体です。例えば、北見市は旧北見市や旧常呂町を含んだ4市町の合併ででき、大空町は旧女満別町と旧東藻琴村の合併で誕生しました。そのため、北見市は東西南北に伸びる自治体となり、北見市常呂は網走地方、北見市北見は北見地方に分類されます。大空町に位置する女満別空港は改称されないまま残っていることも面白いですね。

面積は10,691㎢で、北海道の約12.8%を占めています。岐阜県(10,620 km²)と同じくらいの大きさです。
人口(令和3年住民基本台帳)は27.4万人で北海道全体(約522万人)の5.2%を占めます。



1985年以降、生産年齢人口・年少人口は減少の一途をたどり、2045年には人口が18万人になる推定です。前回の根釧と同じような人口推移ですが、1995年には根釧よりも5年早く、年少人口<老年人口になっています。



人口ピラミッドも、根釧と同じような形になっています。
2020年時点で団塊世代(71-73歳)・団塊ジュニア世代(46-49歳)のコブが目立ちます。全国推計で団塊世代のコブがなくなる2045年には、団塊ジュニア世代(女性)のコブが最も大きくなっており、これは札幌市でも推定されている現象です。

根釧との相違点は、年少人口の元々のボリュームが小さく減少スピードが速い点です。ぜひ、前回のピラミッドと比較してみてください。

オホーツクの歴史


オホーツクは、地理的に千島列島や樺太(サハリン)とのつながりが強かったことが知られれています。その1つにオホーツク文化(5~9C)があります。オホーツク文化の遺跡からは、アムール川(黒龍江)中下流域の靺鞨文化(4~9世紀)、同仁文化(5~10世紀)の遺跡で見つかるものと同じものが見つけられており、サハリン(樺太)や大陸などと交易や交流をもっていたとされています。
オホーツク文化は「北の文化」とされており、9世紀頃に「南の文化」である擦文文化(7~12C)と混じり合ったことで、アイヌ文化が徐々に形成されていきました。

オホーツク文化とアイヌ文化についてより詳しく知りたい方はこちら!


オホーツクに住む人々は昔から漁労民族だったのですね。

さて、一気に明治に時間を飛ばします。オホーツクの歴史、というか北海道の歴史は、囚人なしでは語れません。
オホーツクはロシアとの関係性が強いことを確認しましたが、明治初期の北海道の役割(宿命)は 「北方防備・士族授産」でした。不凍港を求めて南下する、という動きはロシアの地政学的動機からきていることも、過去の経済入門で学びました。

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」⑤ ~<番外編>地政学入門 / 北海道とロシア・前編~
上記の役割を果たすために作られたのが屯田兵制度(明治6〜37年)でしたが、北海道の内側に入植するための足がかりを作ったのが囚人だとされています。

明治7(1874)年、江藤新平による佐賀の乱から、明治10年の西南戦争にかけて多くの国事犯が生まれたことにより、明治18年には過去最高の8万9千人となり、全国的に監獄が過剰拘禁となりました。そこで、開拓+北方防備を廉価な労働力で担ってもらうという思惑のもと、北海道に囚人が送り込まれることとなりました。

明治14年には、月形町・樺戸集治監、明治15年三笠市・空知集治監、明治18年標茶町・釧路集治監が設置され、その分監として明治23年網走囚徒外役所(後の網走監獄)が誕生しました。当時は、600人ほどの小さな漁村に1200ほどの囚人が収容されたのです。



明治24(1891)年、「中央道路」という全長約160kmに及ぶ網走-北見峠間の道路開通工事への従事が囚人に課されました。別の名を「囚人道路」と言います。なんと、この長距離を4月から12月の8カ月間で開通させるという非人道的な計画だったものの、200以上の犠牲者を出しながら計画どおり12月には開通しました。この道路は、道道104号線、国道39号、道道103号線、国道333号がほぼ当時の経路となっています。

このように、のちのオホーツクの発展の礎を築いたのは、囚人によるところが多いと考えられます。このような囚人による開拓は、北海道の各地で見られることなので、ぜひ他の道路も見つけて見てください!


オホーツクの経済・産業


オホーツクの大まかな経済・産業は、北海道庁の「平成30年度(2018年度)道民経済計算年報」を参照しました。

平成30年度(2018年度)道民経済計算年報 - 経済部経済企画局経済企画課
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kks/ksk/tgs/keisan-kakuhou.html

総生産額で見ると第一次産業が基幹産業となっています。域内総生産が1兆400億円(2018年)で、その12.9%である1350億円を第一次産業で稼いでいます。第一次産業の盛んな北海道において、1位が十勝の1700億円、3位が根室の850億円となっています。

農業


北海道の農業地域は大きく4つに分かれており、それぞれの特徴は以下の通りです。「センサスからみた北海道農業」を参考にしています。


【道央地域(空知・上川・留萌・石狩・胆振・日高)】
稲作中心の農業であり、野菜、軽種馬、肉用牛など、地域の特色を生かした農業が展開されています。
①稲作地域(空知・上川・留萌)
②稲作及び野菜地域(石狩・胆振)
③軽種馬地域(日高)

【道東・道北地域(釧路・根室・宗谷)】
冷涼な気候を活かした大規模酪農経営が行われています。 

【道東地域(オホーツク・十勝)】
大規模な畑作農業(麦類、豆類、てんさい、ばれいしょ、たまねぎなど)が盛んで、大規模な酪農経営も行われています。

【道南地域(渡島・檜山・後志)】
水稲の栽培や野菜作や果樹作、酪農などがが行われています。

グラフからは、オホーツクでの経営体は1990年から2020年にかけてかなりの大規模化が進んでいることがわかります。1990年では30ha以上の経営体は全体のわずか5.4%でしたが、2020年には50.1%に大幅に比率が高まっています。十勝でも大規模化が進んでいることを確認しましたが、オホーツクと十勝は農業の種類がほとんど同じという特徴があり、それが影響していると考えられます。

2020年におけるオホーツク・十勝の経営数は9001あり、51%が畑作、21%が酪農、野菜作が17%であり、畑作と酪農が盛んであることがわかります。オホーツクに限定して農業産出額(2019年)で見ると、乳用牛35.6%、野菜20.1%、いも類10.6%、麦類5,1%となっています。このことからも酪農の方が野菜や畑作(穀物・豆類・いも類など)より経営体数1戸あたりの産出額が大きいことがわかります。

水産業


北海道の全12振興局の中で後継者がいる割合が最も高いのが、オホーツク(48%)で、2番目が根室(47%)、3番目が十勝(38%)となっており、檜山(12%)、石狩(15%)と比較しても、この2地域は後継者問題が他地域よりも解決方向に向かっていると考えられます。

オホーツクでは、1998年から2018年にかけて500万円未満の経営体数の割合が半減し、逆に1000万円以上の経営体数の割合が増加し全体の70%となっています。「稼げる」産業になったことで、後継者が増加したと推察できます。


後継者がいる割合が高いオホーツクと根室を比較すると、オホーツクが良化しているのに対し、根室は悪化していることがわかります。これは漁獲物の種類が異なることも考えられますが、基本的に日本の水産業は資源管理が 十分にできていないという現状があります。先進諸国で漁獲高が減少しているのは、日本くらいです。資源管理型漁業への移行がこれからの水産業には強く求められていくと考えらます。

特に、2本目の記事は日本軍の敗北から失敗の本質をまとめた名著「失敗の本質」と絡めており、日本の水産業の問題点が明確に記されています。「失敗の本質」をまだ読んでいない方は、僕が以前にまとめたnoteがあるので、ぜひ参考にして頂けると幸いです。

【神門レポート】旧日本軍から学ぶ失敗の要因

まとめ


3回に渡り道東に分類される、十勝・根釧・オホーツクの農業・水産業を主に比較してきましたが、それぞれの地域で歴史的背景や気候条件などが異なっているため、一見同じような産業構造でもそれに至るまでの経緯や、現在抱えている問題点などはそれぞれ異なります。北海道という1つの大きな括りで経済や産業を語ることは難しいと改めて認識することができました。

次の記事もぜひご覧下さい!

出典

参考

前回の記事へ

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」15 ~根釧経済入門~

次回の記事へ

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」17 〜離島経済入門~

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