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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」18 〜道南経済入門~

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」18 〜道南経済入門~

えぞ財団 2022年9月29日

北海道経済入門とは?


小樽商科大学4年生(休学中)の神門崇晶(カンドタカアキ)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。北海道経済の基本的な部分を理解していくことを、インフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。

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神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学4年生(休学中)。
同大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務め、2022年1月より「北海道経済入門」がスタート。また、2022年6月より木下斉さんとの共同連載「データで見る地域のキホン」がnoteにてスタート。


導入


前回は、振興局別ではなく北海道の3つの離島(礼文島・利尻島・奥尻島)の経済を見ました。離島には独自の法律が5つあり、その中でも議員立法でる離島振興法(1953年〜)と有人国境離島法(2017年〜)の2法が北海道の離島には適用されています。

これらの法律に基づいて、離島活性化交付金や構造改革特区制度が設けられています。人口減少・高齢化が深刻化している離島は、国防上重要であるためこのような独自の法律が施行されています。これからの東アジア情勢を鑑みると、離島の重要性はより一層増していくと考えられます。

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」17 〜離島経済入門~
https://note.com/ezozaidan/n/na535b48dddbd

さて、今回は離島3島のうち奥尻島が属する道南地域を見ていきます。この地域は、檜山振興局渡島総合振興局の2振興局によって構成されています。これらを合わせた経済・産業を見ていきます!

本日のインフォグラフィック


道南ってどんな地域?


道南地域の「今さら聞けない」基本的な部分をまずは見ていきましょう。

市町村数は18市町村で、内訳は2市16町です。

檜山振興局
江差町、上ノ国町、厚沢部町、乙部町、奥尻町、今金町、せたな町
渡島総合振興局
函館市、北斗市、松前町、福島町、知内町、木古内町、七飯町、鹿部町、森町、八雲町、長万部町

面積は6,568㎢で北海道全体(8.3万㎢)の7.9%を占めています。栃木県(6,408 km²)と同じくらいの大きさです。そのうち60%は渡島地域です。

人口(令和3年住民基本台帳)は41.8万人で北海道全体(約522万人)の8.0%を占めます。そのうち92%は渡島地域に集中しています。

檜山


人口:3.4万人(男:1.6万人、女:1.8万人)
高齢化率:42.7%(男:37.1%、女:47.7%)





2021年現在の檜山地域の人口は3.8万人で、2045年には半減以上の1.6万人に減少する推計です。高齢化率は42.7%と北海道平均の31.9%よりも格段に高く、振興局別では空知(39.9%)を上回り道内1位の高齢化率です。この要因を人口ピラミッドから推察すると、20~29歳の女性が少ないことが挙げられます。特に、2045年時点の少なさは経済入門で見てきたどの振興局よりも割合的に少ないことがわかります。

渡島


人口:38.4万人(男:17.7万人、女:20.7万人)
高齢化率:35.8%(男:31.4%、女:39.5%)






渡島は檜山ほどではないですが、人口減少スピードが著しいことが特徴的です。1980~2020年は3500人/年の減少スピードでしたが、2020~2045年は5600人/年の減少スピードに悪化しています。この要因は、檜山同様20~29歳の女性が少ないことだと考えられます。

道南の歴史


道南地域における歴史は、北海道の他地域よりも古くまで遡ることができます。奥山亮(1958)『北海道史概観』から道南地域の歴史を振り返っていきます。

日本人(和人)が北海道へ移住してきたのは13世紀(鎌倉時代初期)とされており、東北・北陸の漁民が季節的にやってくるところから始まりました。その後は北陸の商人が盛んにやってきて、こんぶ・さけ・にしんなどが取引されるようになりました。

そして、第三の移住者として武士が挙げられます。岩手県北部の南部氏の勢力が拡大し、15世紀半ばからは青森県・十三湊から出てきた安東氏が道南地域を支配しました。この時に整備したのが道南十二館と言われるアイヌ民族や和人商人との交易や領域支配の重要拠点でした。

しかし、16世紀半ばには豊臣氏から蝦夷島主として承認された蠣崎氏が安東氏から独立しこの時に松前氏を名乗りました。関ヶ原の戦いでは西軍・東軍どちらにもつかなかったものの、徳川家康からも認められたことで蝦夷地における松前藩封建制が確立されました。

しかし、18世紀半ばにはロシアが南下政策を推し進めます。当時老中であった田沼意次は蝦夷地周辺の調査を進め、田沼罷免後の1799年に東蝦夷地が幕府の直轄領になり、段々と封建制が解体されていきました。
明治時代に入ると、開拓使が設置された札幌が行政の中心地であり、他地域よりも古くから人の出入りがあった函館が経済の中心地となりました。北海道に初めてできた銀行は、明治9(1876)に設置された三井銀行の出張店であり、唯一の国立銀行である第百十三国立銀行の本店は函館でした。実際、戦前までは北海道における人口最大の都市は約30万人の人口を抱えていた函館でした。

このように、道南地域には古くから人が出入りしていたために、当初は経済の中心地となっていましたが、石炭の出現とともに経済・金融の中心地は石炭が積出される小樽へと移っていくこととなりました。戦後には、行政・経済どちらも札幌市が中心地になっていきました。

道南の経済・産業


ここまで、人口動態や歴史を見ました。それでは、経済・産業を見ていきましょう。

檜山


域内総生産:0.1兆円
人口:3.4万人


檜山地域の総生産は道南全体の7%であり1000億円程度です。その中でも第一次・第二次産業が占める割合が、他振興局と比較して大きいことが特徴です。総生産の割合の大きさと就業者数は大きく関係しますが、産業別で見ると農業就業者が最も多いです。檜山地域の就業者のうち15%が農業に従事しています。また、医療・福祉業、建設業、公務という公費負担が大きな産業における就業者数が多いことも特徴です。

各産業の男女比を見ると、農業と卸売・小売業はほとんど半々で、医療・福祉業は女性が75%、建設業、公務は男性がそれぞれは85%、75%と職業で男女比がくっきりと分かれています。この男女比は、檜山地域に限ったことではないかもしれません。

渡島


域内総生産:1.3兆円
人口:38.4万人


道南地域の93%の総生産(1.3兆円)を占めているのが渡島地域です。十勝地域と同程度の経済規模です。また、産業別総生産は北海道の構成比とほとんど同じ(①:4.3%、②:20.5%、③:74.3%)ことが特徴です(①、②、③はそれぞれ第一次産業…を指します)。

産業別就業者数を見ると、医療・福祉業、卸売・小売業がほとんど同数で、それぞれ72%、53%と女性割合が高いことが特徴です。製造業の半数は食料品加工業であり、製造業は男性と女性がほぼ50%ずつ従事しています。

渡島地域にはコロナ前まで年間1200万人が観光客として訪れていたため、卸売・小売業と飲食・宿泊業の就業数が多いと考えられます。

経済規模が同規模の十勝地域と少し比較してみようと思います。産業別総生産比と産業別就業者数比を見やすいように以下に纏めました。

【産業別総生産】
渡島 ①:3.9%(500億円)、②:20.1%(2600億円)、③:75.1%(9760億円)
十勝 ①:12.9%(1700億円)、②:21.2%(3000億円)、
③:64.9%(8450億円)

【産業別就業者数】
渡島 ①:6.7%、②:19.2%、③:74.2%
十勝 ①:14.0%、②:17.3%、③:68.8%

このように比較すると、それぞれの地域がどの産業で稼いでいるかがよくわかります。両地域は同程度の経済規模ですが、人口が大きく異なることを抑えておく必要があります。十勝地域は33.5万人で、渡島地域は38.4万人と、渡島の方が約5万人も多いにも関わらず総生産は同規模なのです。

これは、産業構造の違いに要因があるかと考えられます。渡島の方が第三次産業の割合が総生産、就業者数どちらも大きいですが、基本的に第三次産業(主に卸売・小売業、飲食・宿泊業、サービス業など)は非正規雇用の割合が大きく低賃金産業です。

一方、十勝では農産物販売経営体の平均規模が5600万円(北海道平均3000万円)に代表されるように、就業者割合が大きな第一次産業が「稼げる産業」として機能していることが大きいと考えられます。

このような産業構造上の違いにより人口規模が5万人少ない分経済規模も小さくなるはずが、それをカバーできるくらいの経済の質が十勝にはあると考えることができると思います。実際、道南地域の中心都市である函館市の人口減少スピードは年々高まっていますが、帯広市は反対にほとんど人口減少していません。函館市の人口減少スピードは、1980~2020年の40年間で2500人/年の減少だったのが、2020~2045年には2800人/年の減少にまで悪化すると推測されています



まとめ


檜山・渡島は北海道の中でも他地域より長い歴史があるため産業的な土壌もあると考えられますが、主幹産業があるわけではなく、檜山に限っては公費負担の多い産業(医療・福祉業、建設業、公務)の就業者数が多いことが特徴です。また、道南地域の中心都市である函館市の人口減少スピードは年々悪化しており、道南地域全体がますます縮小していくことが確実と推測されます。

次回からは、ラストの道北地域を見ていきます!道北地域は、留萌振興局・宗谷総合振興局・上川総合振興局の3地域で構成されています。次回は道北全体と留萌・宗谷、次々回は上川総合振興局のみを見ていきます。これで、今年の1月から始まった「北海道経済入門」の振興局別に経済を見ていくシリーズは完結となります。

それでは次回もご覧いただけると嬉しいです!!!

引用・参考文献
令和3年住民基本台帳

・奥山亮(1958)『北海道史概観』

平成30年度(2018年度)道民経済計算年報

令和2年国勢調査(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/001ppc/20pw_table1.html)

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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」17 〜離島経済入門~
https://note.com/ezozaidan/n/na535b48dddbd


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