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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」20 〜道北経済入門・上川編~
えぞ財団
2022年11月4日
目次
北海道経済入門とは?
小樽商科大学4年生(休学中)の神門崇晶(カンドタカアキ)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。北海道経済の基本的な部分を理解していくことを、インフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。
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神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学4年生(休学中)。
同大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務め、2022年1月より「北海道経済入門」がスタート。また、2022年6月より木下斉さんとの共同連載「データで見る地域のキホン」がnoteにてスタート。
導入
前回は、道北全体・留萌宗谷地域の経済を見ました。道北全体の名目総生産は2.1兆円で、そのうち留萌は0.2兆円、宗谷は0.3兆円です。留萌・宗谷の産業構造の特徴は第1次産業の割合が高いことです。留萌は稲作を中心として9%(180億円)、宗谷はホタテ漁を中心とした18.3%(550億円)の構成です。
「マルカツデパート」事実上の営業終了 電気料金“未払い”…送電停止に 北海道 | 日テレNEWS NNN
さて、今回で振興局別に見る「北海道経済入門」は完結します。ラストの今回は、道北経済の76.2%を占める(1.6兆円)上川の経済・産業について詳しくみていきます。
旭川では、丸井今井・西武に続き「マルカツデパート」という老舗デパートが当初予定の2025年を待たずに閉店しました。運営会社社長がコロナ支援金を騙し取ろうとした疑いで逮捕されたのが閉店を早めたきっかけとのことですが、それほど経営が厳しかったのでしょう。帯広の藤丸百貨店も閉店することが今年決まり、地方経済における百貨店・デパートのビジネスモデルは終焉を迎えそうです。
それでは、上川の経済・産業を早速みていきましょう!
本日のインフォグラフィック
上川ってどんな地域?
上川地域の「今さら聞けない」基本的な部分をまずは見ていきましょう。
上川は、4市18町1村で構成されています。
上川総合振興局(4市18町1村)
旭川市、士別市、名寄市、富良野市、鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、 愛別町、上川町、東川町、美瑛町、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村、和寒町、剣淵町、下川町、美深町、中川町、幌加内町、音威子府村
面積は10,618㎢で、道北(18,691㎢)の56.8%、北海道全体(8.3万㎢)の12%で、岐阜県(10,621 km²)と同規模の大きさです。
人口(令和3年住民基本台帳)は48.5万人で、道北(59.1万人)の82.1%、北海道(522万人)の9%を占めます。
上川
人口:48.5万人(年少:10.6%、生産年齢:50.4%、老年:34.6%)
高齢化率:34.6%(男:30.9%、女:37.9%)
高齢化率:34.6%(男:30.9%、女:37.9%)
1980年から2015年にかけての人口減少スピードは-2300人/年のスピードでしたが、2015年から2045年にかけては-5300人/年にまで大幅に悪化する予測です。この要因のとして、若年人口の都市部(特に札幌市)への流出、それに伴う人口の自然減が考えられます。実際、旭川市から札幌市へは毎年1000人の移出超過になっており、人口が毎年減少していくことが確実視されます。
若年人口の流出は人口ピラミッドを見ても明らかです。20~29歳の年齢層が極めて少ないため0~9歳の年少人口も少なく、それは2045年の人口ピラミッドにも当然ながら影響を与えます。そして、突出すべきことは2045年時点での90歳以上の女性人口の比率の高さです。これは、2020年時点で現在の団塊世代(70~74歳)が人口構成の中で最も多いことが関係しています。医療・介護機能が備わっている札幌市でも同様の現象が見られるように、旭川市の人口ピラミッドで顕著に現れると推測されます。
道北の歴史②
「北京(ほっきょう)構想」というのをご存知でしょうか?
この構想には、初代北海道庁長官の岩村通俊、2代目長官の永山武四郎が絡んでいます。明治15(1882)年に岩村は上川郡に「北京」を定め、殖民局を設置すべきとする建議を行いました。そして、明治22年には永山も同様の建議を行いました。この「北京」とは東京に並ぶ首都機能を上川に置くことで北海道開拓を飛躍させる、という大きな目的がありました。
しかし、この構想は当時の法制局が難色を示し実現に至りませんでした。そこで宮内庁は、現在の旭川市・上川神社の場所に明治天皇の離宮を建立するという計画を出し、山縣有朋内閣はこれを閣議決定したため、北海道庁による現地調査も行われましたが結局実現されず、幻に終わりました。
このような計画が考えられた背景として、上川エリア(特に旭川)が北海道における交通の要衝だったこと、そして対ロシア防備が挙げられます。前回の記事でも旭川の倉庫群と交通の要衝の関係性について触れましたが、この北京構想からもそれが推察されます。
歴史にifはありませんが、この構想が実現していればもしかすると、北海道の中心地は札幌ではなく旭川だったかもしれません。
旭川に行かれた際は、ぜひ上川神社に立ち寄ってみてください!
上川の経済・産業
域内総生産:1.6兆円
人口:48.5万人
上川の名目総生産は1.6兆円で道北経済のおよそ80%を占めています。人口も同規模のシェアです。
上川の産業別総生産の構成比は、北海道の構成比(①:4.3%、②:20.5%、③:74.3%)と比べると、第一次産業の割合が高く、第二次産業の割合が低いです。産業別就業者数は、①:8.3%、②:15.7%、③:76.0%で、第三次産業の割合が他地域よりも高いことが特徴です。中でも医療・福祉、卸売・小売業の割合が高いです。
特化係数で産業を見る
地域産業の特性を把握する指標として、「特化係数」というものがあります。係数が1を超えていれば全国平均より高いということを表します。例えば、付加価値であれば地域内で稼ぐ力をもつ産業、従業者数であれば労働力を集積できている産業、労働生産性であれば全国の中でも生産効率が高いと判断できます。
上川の経済の中心地である、旭川市の産業特化係数を見てみましょう。
上川地域、特に旭川市には「旭川家具」に代表されるように家具産業が有名です。現在の旭川駅構内には、旭川家具のイスなどの家具があり、実際に座ることができます。
旭川周辺で家具製造業や木製品産業が勃興・発展した背景として、良質な森林資源が豊富であったこと、第七師団の移駐により人口が増加したことで家具の需要が高まったことが挙げられます。
家具製造業や木製品産業を見てみると、従業者数、付加価値額、労働生産性の3つのカテゴリーの特化係数はかなり高く、旭川市ではこの2つの産業が稼ぐ産業として存在していることがわかります。反対に、かつて栄えた倉庫業や、就業者数が多い卸売・小売業の特化係数は3つのカテゴリ全てで低いことがわかります。特に、卸売・小売業を含めた第三次産業は従業者数と付加価値額の係数はそこそこでも、労働生産性はかなり低いことがわかります。
RESASを使えば各都市の産業特化係数を簡単に見れますので、ぜひ気になる地域の特化係数をご覧ください。
連携中枢都市圏と定住自立圏
「道央経済入門・石狩編」で、都市圏という概念を紹介しました。
【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」11 ~道央経済入門・石狩編~
https://note.com/ezozaidan/n/n24368f1065ae
https://note.com/ezozaidan/n/n24368f1065ae
都市圏を見るにあたって「さっぽろ連携中枢都市圏」をこの記事では扱いました。北海道には2つの連携中枢都市圏、13の定住自立圏があります。そのうち、「旭川大雪圏域連携中枢都市圏」という都市圏があり、旭川市を中枢都市に据えて、鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、愛別町、上川町、東川町、美瑛町が連携市町村になっています。
北海道庁のHPによると、連携中枢都市圏の定義は以下の通りです。
「連携中枢都市圏構想」とは、人口減少・少子高齢社会にあっても、地域を活性化し経済を持続可能なものとし、国民が安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするために、地域において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化により「経済成長のけん引」、「高次都市機能の集積・強化」及び「生活関連機能サービスの向上」を行うことにより、人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成する政策です。
つまり、中枢都市を核に都市圏として地域経済を成長させ、都市機能を集積し、生活サービスの向上を図る政策ということです。
旭川市人口ビジョン 【改訂版】によると、この連携中枢都市圏における周辺市町村から旭川市への流入の様子は8年前とはあまり変わっていませんが、東川町、東神楽町、当麻町へは人口が流出超になっています。しかし、旭川市からは年間1000人以上が札幌市へ流出超であり、都市圏内での人口維持は難しい状況が続いています。
また、上川には名寄市・士別市を中枢都市に設定した北・北海道中央圏域定住自立圏、富良野市を中枢都市に設定した富良野定住自立圏という2つの定住自立圏があり、様々な連携が図られています。
この都市圏構想において重要な点は、「高次都市機能の集積・強化」及び「生活関連機能サービスの向上」と考えます。例えば、教育や医療・福祉インフラを各市町村にそれぞれ設置するのではなく、都市圏の中枢都市に集中させ、都市圏全体の維持を図っていくことがこれから求められていくのではないかと思います。
No Maps開催前夜!北海道再興戦略~ファクトから見る北海道の姿とは~
https://www.youtube.com/live/Ln7lohOwZ34?si=1KNJLm6vj-J7-MZ0
No Maps開催前夜!北海道再興戦略~ファクトから見る北海道の姿とは~
https://www.youtube.com/live/Ln7lohOwZ34?si=1KNJLm6vj-J7-MZ0
この点について、NoMaps前夜に行ったゲリラライブで話し合っているので、ぜひご覧ください。水道という生活インフラを行政が維持管理するのではなくて、住民で組合を作りその組合が管理を担っている地域が実際にある、という話が印象的でした。
まとめ
産業は経済を作り、人を雇用します。
今まで総生産や就業者数という指標で産業を見てきましたが、今回は特化係数を使って別の角度で産業を見てみました。特化係数は市町村単位で見ましたが、経済・産業は市町村だけでなく周囲の市町村と関係し合います。その1つの基準として、都市圏で人口や経済・産業を見ていくことが、縮小していくこれからにおいてますます必要になっていくのではないかと考えます。
参考文献
・北海道庁「令和3年住民基本台帳」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/900brr/index2.html
・北海道庁「第128回(令和3年)北海道統計書」
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1WcR2u8nYay5jvmVPwpFm6bGsPa8fwamf/edit#gid=656691794
・北海道庁「平成30年度(2018年度)道民経済計算年報」
・北海道庁「令和2年国勢調査統計表」
・国立公文書館「東京と西京」
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/henbou/contents/15.html
・北海道ファンマガジン「旭川南部・神楽エリアに北京ができるはずだった?」
https://hokkaidofan.com/kamikawarikyu/
・旭川市(2020)「旭川市人口ビジョン 【改訂版】」
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/700/735/76011/p009174_d/fil/jinkoukaitei.pdf
・北海道ファンマガジン「旭川家具メーカー約30社が集結!旭川デザインセンターの魅力とは」
https://hokkaidofan.com/asahikawa-designcenter/
・北海道庁「令和3年住民基本台帳」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/900brr/index2.html
・北海道庁「第128回(令和3年)北海道統計書」
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1WcR2u8nYay5jvmVPwpFm6bGsPa8fwamf/edit#gid=656691794
・北海道庁「平成30年度(2018年度)道民経済計算年報」
・北海道庁「令和2年国勢調査統計表」
・国立公文書館「東京と西京」
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/henbou/contents/15.html
・北海道ファンマガジン「旭川南部・神楽エリアに北京ができるはずだった?」
https://hokkaidofan.com/kamikawarikyu/
・旭川市(2020)「旭川市人口ビジョン 【改訂版】」
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/700/735/76011/p009174_d/fil/jinkoukaitei.pdf
・北海道ファンマガジン「旭川家具メーカー約30社が集結!旭川デザインセンターの魅力とは」
https://hokkaidofan.com/asahikawa-designcenter/
10ヶ月、ありがとうございました。
この「北海道経済入門」は、2022年1月から10ヶ月に渡り月2回のペースで連載してきました。「経済との距離をもっと近くに」というテーマを当初に掲げ、振興局別に各地の経済を見ることをベースの記事を中心に、ロシアのウクライナ侵攻の時には地政学についての記事や、安倍晋三氏が襲撃された際には北海道における民主主義の歩みについての記事など、時事に応じても記事を書かせていただきました。
記事を書くにつれて「記事、読んでますよ!」とお声がけいただく機会も次第に多くなり、とても嬉しかったです。
「北海道経済にまつわる記事、書いてみない?」とフランクに誘っていただいた富山さん、成田さんには感謝しかございません。本当にありがとうございました。そして、毎回記事の添削等をして下さいました、えぞ財団編集部の松田さん、佐藤さん、本当にありがとうございました。
これで「北海道経済入門」は1度完結します。20本の記事で、皆様に北海道経済のことを少しでも知って頂けたとしたら大変喜ばしい限りです。また違った形で、えぞ財団らしい情報を発信していけたらと思います。
10ヶ月もの長い間、読んで頂きまして本当にありがとうございました!!!!
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