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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」④ ~北海道経済の全体像~

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」④ ~北海道経済の全体像~

えぞ財団 2022年3月2日

北海道経済入門とは?


この連載では、小樽商科大学3年生の神門(カンド)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。例えば、北海道の経済の大きさはどれくらいなのか?、それを構成する北海道の主要産業は何か?など、北海道経済の基本的な部分の理解をインフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。

神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学3年生。
札幌北高校を卒業し1年間の浪人生活を経て、小樽商科大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務める。2020年からFMラジオ局で「神門たかあきのラジオしか勝たん!」という番組をもつなど様々な活動を行っている。

前回の振り返り


前回は、「北海道の産業地図」からどの地域がどのような産業で稼いでいるかをみました。その中で、札幌市や千歳市、苫小牧市を含む胆振地方のウェイトが大きいことや、第2次産業の弱さを確認しました。
今回は、北海道全体の経済の大きさや、私たち道民の所得など、北海道経済の全体像をみていきます。


本日のインフォグラフィック


「入門の入門」が活きてくる


今日の記事を読んでいくにあたって
第1・2回「入門の入門」で学んだことが最大限に活きてきます 。
軽く復習してみましょう!

まずは、第1回「入門の入門・前編」で学んだGDP三面等価の原則です。
この原則とは、「生産=所得=支出」のことです。

野村証券によると「一国の経済において、生産(付加価値)、分配(所得)、支出(需要)の3つの側面でみた額が、一定期間が経過した後(事後的)には等しくなることを指す、マクロ経済学上の原則のこと」とされています。

また、GDPは以下の式で表されます。
GDP=民間需要(民間消費+民間投資)+公的需要 + 貿易収支(輸出ー輸入)


【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」① ~入門の入門・前編~

そして、第2回「入門の入門・後編」では
このGDPを構成する経済主体について言及しました。
主な経済主体は、家計・企業・政府です。それら経済主体の経済活動である、民間消費、民間投資、公的需要、純輸出という、4つの要素によってGDPは構成されています。

では、経済を知るための基礎的な知識を簡単に振り返ったところで
北海道の経済の状態を確認していきましょう。

道内総生産の推移


今回の記事も前回同様、北海道経済部経済企画局経済企画課が出している「平成30年度(2018年度)道民経済計算年報」を参考にまとめました。


では、GDPの推移と実質経済成長率という大枠から見ていきましょう。
今回は、全国平均と比較しながら北海道の数字を見ていこうと思います。

まず、名目道内総生産の推移です。
名目と実質の違いは、第2回「入門の入門・後編」でご確認ください!

既に述べましたが、GDPを構成するものは大きく以下の4つです。
民間需要(民間最終消費支出+民間最終投資)公的需要、純輸出です。
北海道の総生産を見ると、全国平均よりも民間需要が低く(全国比 -8%)公的需要が高い(全国比 +7%)という点が顕著です。この公的需要の高さは、この後に触れる産業構成でも確認できます。
また、財貨・サービスの純移出入、つまり純輸出についてです。
毎年約-2.5兆円と、北海道は大幅な輸入超過に長い間陥っています。
「食料供給地」と称されている北海道が大幅な輸入超過だということに驚かれるかもしれないですが、この事実から浮かび上がることは、資源は輸出し加工品などは輸入に頼っている、という現状ではないでしょうか。

実質経済成長率


次に、実質経済成長率です。
経済成長率の場合は、実質がよく使われます。

東海東京証券によると、『経済成長率とは、ある一定の期間において、当該国の「国民の」経済の規模が拡大する「速度」のことを表しています。』とされています。

経済成長が基本的なマクロ経済目標となる理由は、経済成長が生活水準の向上に寄与するためです。そのため、道内の実質経済成長率を見ると北海道経済が道民の生活水準を向上させるのに成功したかどうかを判断することができます。
グラフを見ると、北海道の実質経済成長率はマイナスを記録することが多く、我々道民の生活水準は一向に向上していないことが分かります。ただ、これは北海道のみならず全国的に言えることが、全国の数値をみてもわかります。
ある年に経済成長率がプラスを記録すると、翌年には消費税増税や災害などの外部要因のために、すぐにマイナスに戻ってしまうということを重ねています。グラフには出ていませんが、2020年のコロナパンデミックも大きな外部要因です。

詳しい産業構成


次は、前回の記事で触れた産業構成についてです。
ここで触れられている産業構成比(%)は、道(国)内総生産の経済活動別産業構成比(%)のことです。従業員数別構成比ではないので、経済活動に直接どれだけ寄与しているのかという数値になります。
上記の「GDPの推移」で、北海道における公的需要が全国よりも大きいということを述べました。それがこの産業構成に現れています。
建設業と公務がそれです。
建設業が全国比+ 1.3%公務が+ 2.2%と全国よりも高い数値を示しています。また、北海道は32.1%と全国で18番目に高齢化率が高い自治体です。そのため、保健衛生・社会事業も+ 2.8%と比率が高いです。


気になる道民の所得


最後に、1人あたり道民所得をみます。2018年の一人当たりの道民所得は274.2万円、全国平均は319.8万円でした。
2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災を経て2008年から2012年にかけて1人あたり道民所得は低下の一途でしたが、徐々に持ち直しています。しかし、こちらも道内総生産や実質経済成長率と同様に全く成長していません
道民所得の推移を見ると、雇用者報酬が微増の傾向を示していますが、道民所得は一貫して全国比約85%と差は縮まっていません。
以下の図は、「地域経済分析システムRESAS」を用いたデータです。
北海道における、産業別雇用者シェアと一人当たり現金給与総額です。
一人当たり現金給与総額が高い産業は雇用者数が多くなく、中・低所得な産業において雇用者数が多いということがわかります。

ただし、これは北海道のみでの現象ではありません。
  1980年代までの日本は中所得者層が人口比で多く、この層が経済を動かしていました。”ジャパン・アズ・ナンバーワン”と言われていた時代です。
しかし、1990年代には各国でバブルが崩壊し、冷戦が終結し、インターネットが普及して状況は一変します。
それまでの国家が需要をある程度管理し、政府が積極的に財政・金融に介入するケインズ主義的政策から、各国政府は規制緩和といった新自由主義的な経済政策を採用し始め、経済のグローバル化が世界各国で進んだことにより、所得格差が世界で顕在化し始めます。

諸富徹『資本主義の新しい形』
では、この現象について多くのデータを引用して詳細に綴られており、端的にまとめられた部分があるので引用します。

「過去三十年から四十年にわたる技術進歩は、一方で経済を成長させたが、他方で労働需要の構造を変化させ、中間技能職の労働需要を大きく落ち込ませた。同時にそれは、低技能職と高技能職への労働需要を引き上げる両極化現象を生んだ。これが『先進国中間層の没落』を引き起こし、低技能職への需要を中技能職と低技能職で『奪い合う』状況を作り出した。」
諸富徹『資本主義の新しい形』、岩波書店、2020年、p. 148

加えて、北海道のみならず日本において問題とされているのが、低技能職の労働賃金の硬直化です。これについても、新雅史『商店街はなぜ滅びるのか~社会・政治・経済史から探る再生の道~ 』において、おもしろい考察がされているので読んでみてください。


まとめ


将来の予測をしていくためには、これまで見てきたような過去のデータも振り返る必要があります。2022年以降の、北海道経済の今後が気になる方は、北海道銀行が出している「2022 年度北海道経済の展望」をご覧ください。


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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」③ ~北海道の産業地図~
https://note.com/ezozaidan/n/n0aa0de06c769

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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」⑤ ~<番外編>地政学入門 / 北海道とロシア・前編~

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