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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」⑧ ~道央経済入門・後志編~

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」⑧ ~道央経済入門・後志編~

えぞ財団 2022年5月4日

北海道経済入門とは?


この連載では、小樽商科大学3年生の神門崇晶(カンドタカアキ)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。

例えば、北海道の経済の大きさはどれくらいなのか?それを構成する北海道の主要産業は何か?など北海道経済の基本的な部分を理解していくことをインフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。

神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学3年生。
札幌北高校を卒業し1年間の浪人生活を経て、小樽商科大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務める。


導入


前回は⑦「道央経済入門」として、道央地域の経済について経済規模と産業に着目してまとめました。

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」⑦ ~道央経済入門~
https://note.com/ezozaidan/n/nb22fceac4037

さて、今回からは③「北海道産業地図」と④「北海道の経済状況」をベースに、道央地域の経済について振興局別に詳しく見ていきます。

まずは、後志総合振興局です。
僕は4月の1ヶ月間、積丹町に滞在し民間に運営譲渡された「岬の湯 しゃこたん」の再OPEN準備のサポートをしていました。小樽商科大学生なので、後志にはゆかりがありました。

ただ、「課題先進地域」である北海道においても、積丹町は高齢化率48%、人口が2000人にも満たない超課題先進自治体です。
ここに1ヶ月間住んでいると、後志の経済状況はどうなっているのだろう、という考えをより一層もちました。なので、書くなら今しかない!と道央経済の中心地である石狩振興局ではなく、後志から道央経済を見ていきます!

本日のインフォグラフィック


後志ってどんな地域?


そもそも、「後志」とはどういった地域なのでしょうか?
どれくらいの数の市町村が後志地域に属するのでしょうか?

では、後志地域の「今さら聞けない」基本的な部分をまずは見ていきましょう。

まずは、市町村数です。
後志地域には20市町村(1市14町5村)が属します。
そして、北後志・岩字・羊蹄山嶺・南後志の4地域に分類されます。
内訳は以下の通りです。

北後志:小樽市・積丹町・古平町・仁木町・余市町・赤井川村
岩字:共和町・岩内町・泊村・神恵内村
羊蹄山嶺:蘭越町・ニセコ町・真狩村・留寿都村・喜茂別町・京極町・
倶知安町
南後志:島牧村・寿都町・黒松内町

道央全体で70市町村なので、自治体数的には約28.6%を占めます。
24市町(10市14町)を擁する空知総合振興局に次いで2番目の多さです。
面積と人口に関して、第128回(令和3年)北海道統計書から引用します。


面積(平成27〜令和元年)は、4,305㎢
と、道央地域全体(22,145㎢)の約19.4%、北海道全体(83,424㎢)の約5.2%を占めます。道央地域内では、5振興局の中で4番目の大きさです。
人口(平成27年国勢調査)は、約21万5500人で道央地域全体(約337万人)の約6.4%、北海道全体(約538万人)の約4.0%を占めます。
ここでは、人口に関してもう少し詳しく述べたいと思います。
人口は、経済や産業を構成するとても重要な要素です。

まずは、後志地域の人口減少についてです。
1955年をピークに、それからは人口減少に歯止めが掛かっていません。
空知総合振興局に属する自治体と同様に、札幌への流出が進んでいます。

また、人口の動きをもう少し詳しく見てみると、例えば小樽市では、自然減・社会減合わせて年間約2000人のペースで人口が減少しています。
その内訳を見てみましょう。




このように、小樽市からの転出超過の80%が札幌市です。
転入超過には、岩内町や余市町などが挙げられます。

次に、高齢化率を見ていきます。
「令和3年度住民基本台帳 振興局市区町村別年齢5歳階級別人口【地域行政局市町村課調べ】」のデータを基に見ていきます。


高齢化率は以下の式で計算することができます。

高齢者人口÷(総人口ー年齢不詳人口)×100=高齢化率(%)

内閣府の令和3年版高齢社会白書によると、日本全体では老年人口が3,619万人で高齢化率は28.8%(男性:25.7%、女性:31.7%)です。


北海道全体では、老年人口が約167万人で高齢化率は31.9%(男性:28.3%、女性:35.2%)です。

では、後志の高齢化率はどうなのでしょうか。
後志の人口は約20万人で、老年人口は7.7万人、高齢化率は38.6%(男性:33.5%、女性:43.0%)です。道央では空知(39.9%)に次いで2番目に高く、北海道では檜山(42.7%)、留萌(39.7%)に次いで4番目に高い数字です。

後志の歴史


では、次に後志の歴史をみていきましょう。
歴史的な経緯が諸地域の経済や産業構造に寄与することが多々あります。
例えば、北海道に第二次産業が少ないことの要因は、③「北海道の産業地図」で紹介しました。明治期から現在までの、地場資本の脆弱性、本州資本による資源依存型産業、というのが大きな要因です。 

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」③ ~北海道の産業地図~
https://note.com/ezozaidan/n/n0aa0de06c769

後志の歴史といえば、北前船です。
北前船とは、大阪と北海道を日本海周りで往復し寄港地で積荷を売った帆船、のことを指すそうです。詳しくはこちらをご覧ください。


この北前船をきっかけに、北陸と北海道の関係性が強くなりました。
これは、金融で色濃く現れます。
小樽市は北のウォール街と呼ばれましたが、北陸銀行(当時十二銀行)は北海道初の支店を小樽に開設し、これは北海道拓殖銀行の小樽進出から半年先んじています。そのため、現在でも北陸銀行の支店が北海道では多く存在し、北海道銀行とのほくほくFGはその流れだと考えられます。
また、当時は岩内や寿都、余市などの漁港における経済が活発でした。要因はニシン漁です。そのため、岩内銀行や寿都銀行、余市銀行などが存在し、余市銀行は後に北海道銀行(現在の北海道銀行とは別)となり、戦時中の統制経済で拓銀と合併するまでは、拓銀と双璧をなす金融機関でした。

また、後志には江戸時代に建立された寺社仏閣も存在します。例えば、積丹町にある神威神社は1663年に出稼ぎの漁民によって社殿が再建されたとても歴史の長い神社です。




このように、江戸時代から続く長い歴史があることを認識・理解しておくことは、地域の経済を見る時や、経済を持続的に発展させていく施策を打ち出すためにも重要です。この観点は、このあとに出てくる第3次産業にとっても重要な要素になります。

後志の経済・産業


では、後志の経済・産業を見ていきましょう。

ここからは、以下の2つの資料を引用していきます。

平成30年度(2018年度)道民経済計算年報
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kks/ksk/tgs/keisan-kakuhou.html


後志振興局の産業構造は、第2次産業と第3次産業の構成比が大きいです。
この2点の内訳を見ていこうと思います。

まずは、第二次産業(27.3%)です。
製造業が42.3%、建設業が42.4%を占めており、この2業態が主となっています。 製造業の内訳を見ると食料品が56.3%と半分以上を占めており、農林水産物の加工を重点的に行っています。
その中でも、令和元年(2019)時点で後志の事業所の約71%が従業員数30人未満で中小零細が多く、従業員1人当たりの製造品出荷額は約2,291万円(全道平均3,714万円の61%の水準)です。


次に、第三次産業(67.8%)についてです。
構成比が高い順から、不動産業(17.8%)、保険衛生・社会事業(16.9%)、卸売・小売業(12.6%)、運輸・郵便業(11.5%)、公務(10.6%)です。
ただ、ポテンシャルを秘めているのは、宿泊・飲食サービス業(6.3%)だと思われます。様々なデータを見てみましょう。


まずは、コロナ前の令和元年度の観光客入込客数(延べ数)を見てみます。
この1年間、北海道の観光客入込客数(延べ数)は約1億4000万人でした。そのうち、後志には約15%の約2100万人が訪れました。振興局別では2番目の多さです。
インバウンドの影響もあり、過去7年間で北海道全体では観光客が1300万人も増加しましたが、後志は100万人の増加に留まっています。ただ、外国人宿泊延数は約80万人増加しています。しかしこちらの増加率は約325%であり、北海道の増加率(約412%)には遠く及びません。
日帰り・宿泊別観光入込客数を見ると、日帰り客は全体の89.3%であり北海道の平均(81.5%)よりも差が大きくなっています。この点はかなり重要です。
なぜなら、日帰り客と宿泊客の観光消費額には、大きな差があるからです。
観光庁によると、2019年の旅行消費額は宿泊旅行が55,054円/人(前年比1.4%増)、日帰り旅行が17,334円/人(前年比0.3%増)と、約3倍の開きがあります。
そのため、昨今ナイトエコノミーの充実を図ることで 、宿泊客を多くして観光消費額を増やすことが求められてきているのです。 


この観光消費額は、付加価値額にも影響します。
こちらは、2016年の後志全体の付加価値額(企業単位)と従業員数(企業単位)です。
一人あたり付加価値額は、卸売・小売業(362万円)、製造業(325万円)、医療・福祉(348万円)、運輸・郵便業(470万円)、宿泊・飲食サービス業(248万円)と突出して低いことが分かります。
リゾート地であるニセコ町の一人あたり付加価値額は838万円と、観光業がしっかりと稼げる産業として成り立っていることがわかります。
地域経済を考えるときは、稼いだ金を地域内での消費や投資に回し、経済循環率を高めることが重要です。しかし、地方ではせっかく稼いだ外貨をそもそも域内で消費できる場所がなかったり、投資に回さずに域外に流出するケースが多々あります。
例えば、積丹町がそうです。
特に驚きだったのが、地域経済循環率が48%という点です。
せっかく外から稼いだお金を、域外にそのまま流出しているという現状です。

X|神門タカアキ【Youtube:世界の支配者たち】

まとめ


デービッド・アトキンソン『新・観光立国論』
によれば、観光立国には4条件が必要だと述べられています。「気候・自然・文化・食事」です。特に、「自然」は重要なポイントに挙げられています。


この点、後志には、支笏洞爺国立公園、ニセコ積丹小樽海岸国定公園、狩場茂津多道立自然公園とそれぞれが異なった特徴をもつ3つの自然公園があります。ニセコ町や倶知安町はこの自然のポテンシャルを最大限活かしたからこそ、現在では有数のリゾート地になっていると考えられます。
また、「後志の歴史」でも触れたように、後志は江戸時代から続く長い歴史もあります。
積丹町に滞在した1ヶ月間様々な場所に行きましたが、今更ながら札幌から車で2時間ほどの場所にこんなに手付かずの自然が残されていたのかと、強く感動しました。
素材は抜群なのに活かしきれていない、そんな感じがしました。
これから後志地域全体が持続的に活性化していくには、今ある潜在能力を最大限活かしていく施策が必要なのではないでしょうか。

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