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【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ⑪ 八雲町で廃校をリノベーション・赤井さん〜地元の中と外を繋ぐ拠点を自らの手で創り出す! ~
えぞ財団
2021年11月25日
組織のなかで、マチのなかで、もがきがらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。 今回ご紹介するのは、 赤井義大さん。赤井さんは小学生時代から何度も海外を訪れるなど、学生時代は世界の文化に触れて育ち、留学も経験したのちに帰国。現在は故郷の八雲町に戻り、廃校をリノベーションした「ペコレラ学舎」を拠点に観光や移住の推進など、八雲町と外から訪れる人々をつなぐ活動を進めています。(文責:伊藤はるな)
目次
赤井義大:1990年八雲町出身。高校・大学時代を海外で過ごし、卒業後帰国。東京の代理営業の会社を経て八雲町にUターン、人材紹介会社を立ち上げる。「株式会社木蓮」役員、「NPO法人やくも元気村」に所属。廃校をリノベーションした施設「ペコレラ学舎」のほか、ゲストハウス「SENTŌ」やレストラン、体験観光などさまざまな事業に関わる。趣味は釣り、キャンプ、サウナ、サッカー、スノーボードなどアウトドア全般。
学生時代の多くを海外で過ごし、故郷八雲町へUターン!銭湯をリノベしゲストハウスを立ち上げる
八雲町で暮らしていた小学校の頃から海外へ訪れる機会が複数あり、「海外への抵抗やハードルは自然と低くなる環境で育った」という赤井さん。
高校ではニュージーランド、大学ではカナダとそれぞれ学生生活を海外で過ごします。卒業後、帰国して2年ほど東京の代理営業の会社に勤めてから、Uターンして八雲町に帰ってきました。「初めは人材紹介の事業を立ち上げました。でもやっていくうちに観光をやらなくちゃと気がついて、2018年にゲストハウス『SENTŌ』やレストランをオープンしたんです。そこから観光コンテンツを作ったりしていたら…廃校のリノベをしていました(笑)」
高校ではニュージーランド、大学ではカナダとそれぞれ学生生活を海外で過ごします。卒業後、帰国して2年ほど東京の代理営業の会社に勤めてから、Uターンして八雲町に帰ってきました。「初めは人材紹介の事業を立ち上げました。でもやっていくうちに観光をやらなくちゃと気がついて、2018年にゲストハウス『SENTŌ』やレストランをオープンしたんです。そこから観光コンテンツを作ったりしていたら…廃校のリノベをしていました(笑)」
ゲストハウス『SENTŌ』と併設のレストランは、NPO法人「やくも元気村」の観光事業部を赤井さんが新たに立ち上げ、宿業・飲食業・観光業を現在も継続しています。もともと銭湯だった施設を改修したゲストハウスはきれいにリノベーションされていますが、以前の面影をあえて残し、どこか懐かしさの感じる雰囲気。訪れる人や地元の方のコミュニケーションスペースとして利用されています。そして2021年、ここでの出会いが生んだ"繋がり"を"挑戦"へと後押しする、新たな拠点が生まれたのです。
廃校を活用したコミュニティ拠点「ペコレラ学舎」…校庭がキャンプ場に!
八雲の中と外の人が交流できる、さらなる拠点をと進められたのが「廃校のリノベーション」。
八雲町の山中にある廃校「大関小学校」を改修して、教室や校庭など、学校ならではの設備を生かしたユニークなコミュニティ拠点「ペコレラ学舎」が誕生しました。この取り組みが新聞にも取り上げられるなど注目を集め、2021年8月16日にスタートしたクラウドファンディングでは、約2ヶ月で目標額80万円を超える96万円の支援を達成。今後はさらなるコンテンツの充実化や、来訪者同士の交流・企画の支援などの促進が予定されています。
https://x.com/pekolela_yakumo/status/1445680315725348866?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1445680315725348866%7Ctwgr%5Eeb528d0e8668454c0994ee9e30c04ed5dbba8ef9%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fezozaidan%2Fn%2Fn2b5d135af9d0
camp-fire.jp八雲町の廃校をリノベして、「オモシロイ」に出会えるコミュ二ティ拠点を作りたい!
https://camp-fire.jp/projects/474767/view
「えぞ財団や島プロ、リノベに手伝いに来てくれた人、道南で面白いことを一緒にしましょう! というムーブメントをつくっているメンバー…それに全く知らない方も結構応援してくれて、とてもありがたいと思っています。
リターンも地元の人の野菜とかがいいなと思って、野菜や水産加工品の詰め合わせなども用意しました」
リターンも地元の人の野菜とかがいいなと思って、野菜や水産加工品の詰め合わせなども用意しました」
そんな「ペコレラ学舎」の名前は、「牛」と「風」を意味するアイヌ語からつけられたといいます。
八雲町は町の根幹事業になるほど酪農が盛ん。通年稼働なので、夏も冬も通して稼働していますが、夏になると酪農の香りを風が運んでくることからこの名前になったのだそう。
「八雲は軟白ねぎなどのハウス栽培も盛んなので、意外と冬場のこれからが忙しかったりします。このネギが高単価で売れる高級ネギで、めちゃくちゃ美味いんです!」
リノベーション前の小学校は、もともとは校庭・体育館・調理室・職員室・校長室・放送室と3クラス分の教室を備える、規模が小さめの校舎でした。
「八雲には他にも廃校がありますが、たまたまこの大関小学校が早く手に入りました。実は僕の母がかつてここで先生をしていたこともあるんです。
ここのコンパクトさがリノベーションや活動にちょうど良かったですね」
「八雲には他にも廃校がありますが、たまたまこの大関小学校が早く手に入りました。実は僕の母がかつてここで先生をしていたこともあるんです。
ここのコンパクトさがリノベーションや活動にちょうど良かったですね」
教室はコワーキングスペースや木材加工などの作業室に、調理室はイベント時の台所、体育館はステージやコミュニケーションスペースに…そして、校庭はキャンプ場に変身。八雲の豊かな自然をダイレクトに感じながら宿泊できる、魅力的な空間を準備しているそう。
リノベーションは「サステナブル」をテーマに、廃材や町内で捨てられる予定だった家具、もともと廃校にあったものなどを活用して進められています。「冬キャンもできるようにさらに整えたり、雪が積もったらかまくらを沢山作って、その中でお店をだしたりしたいなと思ってるんです」
メンバーやペコレラ学舎に訪れる人の手によって、まさに現在もリノベーションが進んでいます。
訪れる人がリノベーションを繋ぐ…「ペコラー」の存在がペコレラ学舎と八雲町にもたらす、大きな変化
このペコレラ学舎の特徴のひとつが、「ペコラー」と呼ばれる、リノベーションに携わる人々です。赤井さんをはじめとする中心メンバーのほか、ペコレラ学舎のリノベーションを手伝いながら滞在したり、地元の農家や漁師さんのもとでアルバイトをする人がペコレラ学舎を訪れます。
全国からの来訪者が少しずつペコラーとしてリノベーションに関わることで、新たな繋がりや気づき、きっかけを生んでいるそう。その数は、なんと既に60人以上!
全国からの来訪者が少しずつペコラーとしてリノベーションに関わることで、新たな繋がりや気づき、きっかけを生んでいるそう。その数は、なんと既に60人以上!
「基本メンバーのほかにも、定期的に来てくれる人とかもいて、本当にいろんな人たちが関わってやっています。
中には専門的なスキルを持っている方もいて、例えば建築系のスキル持った方、あとは写真や動画のクリエイターの方なども過去に良く来てくれていました。
せっかくなので、ペコレラをきっかけに違う事業とかでも協力してもらえたら嬉しいなと思いますね。今後はそういう展開や繋がりをどんどん作っていきたいです」
中には専門的なスキルを持っている方もいて、例えば建築系のスキル持った方、あとは写真や動画のクリエイターの方なども過去に良く来てくれていました。
せっかくなので、ペコレラをきっかけに違う事業とかでも協力してもらえたら嬉しいなと思いますね。今後はそういう展開や繋がりをどんどん作っていきたいです」
他のペコラーから紹介されたり、インスタグラムの投稿を見て来たという人や、3〜4回来てくれるようなリピーターも多いと話す赤井さん。
「1回の滞在では2〜3日滞在される人が多いものの、短い人は日帰り、長い人は1~2ヶ月とか滞在されることもあって、本当に人それぞれですね」
これまで町の外からやってくる人が少なかった八雲町に、ペコレラ学舎やSENTŌを目指し、さまざまな人が足を運ぶようになったのです。
「1回の滞在では2〜3日滞在される人が多いものの、短い人は日帰り、長い人は1~2ヶ月とか滞在されることもあって、本当に人それぞれですね」
これまで町の外からやってくる人が少なかった八雲町に、ペコレラ学舎やSENTŌを目指し、さまざまな人が足を運ぶようになったのです。
そんな変化を、地域の方はどのように受け止めているのでしょうか。
「良い反応もそうではないものも、もちろん両方ありました。
今まで外の人が入ってくる土地ではあまりなかったので、新鮮で楽しいと歓迎してくれる人もいます。僕がイベントを開くときに、積極的に来て交流してくれたり、すごく有り難いことですね。
訛りのある言葉で話す地元の人の魚や酪農の話を、外から来た人が聞いて楽しんでいるというのは、すごいことだと思います」
「良い反応もそうではないものも、もちろん両方ありました。
今まで外の人が入ってくる土地ではあまりなかったので、新鮮で楽しいと歓迎してくれる人もいます。僕がイベントを開くときに、積極的に来て交流してくれたり、すごく有り難いことですね。
訛りのある言葉で話す地元の人の魚や酪農の話を、外から来た人が聞いて楽しんでいるというのは、すごいことだと思います」
外からの来訪者にとっても、地元の人と交流できるのはなかなか無い貴重な機会。しかし今八雲町では、地元の農家さんや漁師さんなど、東京では出会えないような触れ合いが生まれているのだそう。
そして中には、ドラマのようなエピソードもすでに誕生しているといいます。
「ゲストハウスSENTŌにヘルパーとして来ていたドイツ人がいたんですが、滞在中に地元の酪農家さんの娘と付き合い初めて。そして今年に入って、その2人が八雲で結婚したんです。
他にも、ここでの活動を通して仲良くなって八雲からそれぞれの土地に帰ってからも遊んでいたり、いつの間にか八雲の友達ができて一緒にペコレラに来てくれたりとか…
こういった繫がりががどんどん生まれているので、すごく面白いですし、単純に『なんかいいな』と思います。ほかの仕事やプロジェクトに発展しても面白そうですね」
「ゲストハウスSENTŌにヘルパーとして来ていたドイツ人がいたんですが、滞在中に地元の酪農家さんの娘と付き合い初めて。そして今年に入って、その2人が八雲で結婚したんです。
他にも、ここでの活動を通して仲良くなって八雲からそれぞれの土地に帰ってからも遊んでいたり、いつの間にか八雲の友達ができて一緒にペコレラに来てくれたりとか…
こういった繫がりががどんどん生まれているので、すごく面白いですし、単純に『なんかいいな』と思います。ほかの仕事やプロジェクトに発展しても面白そうですね」
"地元の中と外"の関係性とジレンマ「互いを尊重し、外からの人が上手く関われる流れを作る」
その反面、ペコレラ学舎の存在は知っていても、なかなか入れていないという層もいるといいます。「僕は地元側の人は3つに分かれると思っていて、①割と積極的に入ってこれて、既にこちらの輪に入っている層、②ちょっと興味はあるけれど一歩が踏み出せずにまだ入れていない層、そして③そもそも全然興味がないという層、だいたいこの3層に分かれています。①の層は割と取り込めている自信がありますが、②・③の層については課題と言えますね」
外から来た人と新しいことをどんどん仕掛けていきたいと思う一方で、赤井さん自身が過去に色々チャレンジした結果から、『地元の人と進める場合、スピード感や発想の仕方、時間などに課題がある』ということも理解しているそう。
「ついスピード感を重視して外から来た人と盛り上がりがちなんですが、それをやり過ぎてしまうと、やっぱり地元の人との距離は離れてしまうんです。そこのバランスが難しい」
早くどんどん前に進みたいけれども、そこに地元の人を絡めていかないと距離ができてしまう。だからといって地元の人に合わせすぎると、物事が進みにくくチャンスを逃してしまうこともある。
赤井さんはそんなジレンマと向き合いつつも、着実に歩みを進めています。
赤井さんはそんなジレンマと向き合いつつも、着実に歩みを進めています。
短期の目標としては、「まずキャンプ場とコワーキングスペースをしっかり運営して人が入るように、そしてビジネスとしてもまわるようにしたい」と語る赤井さん。既に人が関わり合う場所はできているものの、さらに自然に、地元の人も外から来た人もうまく関わって行ける場所を目指すといいます。
「このペコレラ学舎がきっかけで、外から人がたくさん来てくれている。このペコレラの事業以外にも、外の人が来て関わっていくという流れができたら、さらに人がどんどんこの地域に入れる流れが作れますよね」
そんなプロジェクトや外の人が関われる仕組みを、八雲だけではなく色んな地域で創り上げていくべく、動き出しています。
八雲でそれなりに確立できたら次は道南エリア、そして道内の各地域でもできたら…と長期のビジョンもすでに考えているそう。
「今はオンラインでなんでもできちゃうので、別に距離とか住んでる場所とかってそんなに関係ない時代。そういったことも生かして、面白いことを仕掛けている地域と組んだりしながら、さらに活動していきたいと思います」
地域を盛り上げるには、“内と外”の連携が非常に重要で、外からの流れ、そしてそれを受け入れる土台もまた必要になります。「ひとつの町ではなく大きな広域で捉えて活動できたら、どちらの人も盛り上がれる。…そんなことを意識しながらやっていきたいですね」
既に多くのペコラーが誕生したように、地域を想い、人を想い、環境を思う赤井さんの周りには、分野を問わず多くの人が自然と惹き寄せられています。八雲から道南、そして全道…地域とともに歩む赤井さんのチャレンジは、今後も注目を集め続けることでしょう。
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