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- 【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ【スポーツ編】②」株式会社VOREAS・池田憲士郎~V1昇格をかけた熱戦の直後。「いくぞV1」サポーターやメディア、地元が熱狂する一大ムーブメント~

【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ【スポーツ編】②」株式会社VOREAS・池田憲士郎~V1昇格をかけた熱戦の直後。「いくぞV1」サポーターやメディア、地元が熱狂する一大ムーブメント~
えぞ財団
2022年4月13日
組織のなかで、マチのなかで、もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回は「スポーツ特別編」です!第2回目としてご紹介するのは、旭川市が本拠地のプロバレーボールチームを運営する株式会社VOREASの池田憲士郎さんです。
目次
ヴォレアス北海道:2016年に旭川市を本拠地とするプロバレーボールチームとして発足、V.LEAGUE DIVISION2(V2リーグ)に所属。トップカテゴリーであるV1リーグ昇格を目指し、今シーズン(2021-22シーズン)はV2リーグ初優勝を納める。過去3シーズンでV1リーグへの入れ替え戦である”V・チャレンジマッチ”の出場権を得るも2019-20シーズンは新型コロナウイルスの影響で中止、20‐21シーズンは敗退。今シーズンも先週4月9・10日の激戦の末、昇格とはならなかった。チームスローガンは、“Children of The Revolution.“「革命の子ら」。 未来のバレーボール界の革命児でありたいという意志と姿勢が込められている。チーム運営は株式会社VOREAS。
池田 憲士郎:株式会社VOREAS 代表取締役社長。1986年生まれ、旭川市出身。大学卒業後、東京のメーカーに勤務。27歳の時に地元旭川に戻り、プロバレーボールチームを設立。海外の歴史やアートなど見えないものにもしっかりとお金を払う文化やチップの制度に興味関心があり、趣味は没頭する時間を作ることのできるヨガとフラワーアレンジメント。将来の夢は、一周回ってお花屋さん。
V1昇格をかけた熱戦の直後。「いくぞV1」サポーターやメディア、地元が熱狂する一大ムーブメント
旭川市を拠点にするプロバレーボールチーム”ヴォレアス北海道”(V2リーグ)は、2022年4月9・10日に悲願であるV1リーグ昇格をかけ神奈川県で大熱戦を繰り広げていました。試合会場には「いくぞV1」を合言葉に、地元勢も含めファンが応援に駆け付け、旭川市のパブリックビューイングにも大勢が駆け付けました。また、テレビでは特番が組まれ、試合会場にも多数の北海道ローカルメディアのカメラや記者、アナウンサーが取材に訪れ、注目度の高さを物語っていました。
2016年設立からおよそ6年でのこの一大ムーブメント。株式会社VOREAS代表取締役社長の池田さんは、自身のSNSで”数年前、私の住む地域ではスポーツやエンタメは画面越し又は年に一回のイベントでした。つまり自分ごととなるには接点も距離も遠い存在でした。2016年のチーム設立時に「無理だ、できない、子どもみたいな事言うな」と言われながらも信じてついてきてくれた方々と行動し続けて、ついについにここまで来ました。このチームの目指すところはまだ先、「日本一」ですが第一幕は今日で終わらせます。そして、その先弊社のミッション「未だ見ぬ熱狂と誇りの共創」を実現すべく、今日を地域の皆さんはもちろん、全国のヴォレアスサポーター、全てのステークホルダーの皆さんと共に、熱く戦い抜きたいと思います✊
いくぞV1”と試合前に綴っていました。
初戦はフルセットの末、勝利。続く2戦目はフルセットの末敗退するも1勝1敗でしたが、得点率の結果、惜しくもV1昇格とはなりませんでした。
試合後、えぞ財団の取材に対し池田さんは「今回、応援いただきありがとうございました。今できる準備はしてきたつもりでしたが、現実は厳しく、結果は残せませんでした。試合後、初めて人前で涙しました。悔しい感情では無く、これまで僕達の無謀な挑戦を支えて応援してくれた方々からの励ましと、感謝の言葉をいただいたからです。一人ではない事、多くの仲間がいる事を改めて感謝し、現実に向き合い前を向いて困難を越えたいと思います。難しい大きな困難がある事は幸せな事だと思います。今後ともヴォレアスをよろしくお願いします」とコメントをくれました。
原点は“未来の子どもたちに何かを伝えたい”という大義マインド
自身も選手として活躍し、特に高校3年間は寮生活でバレー漬けの日々を送ったという池田さん。そんな中、将来について考える時期が来た時に「子どもたち向けに何か伝える仕事がしたい」と当時の限られた情報の中で選択し、地元旭川の北海道教育大学旭川校へ進学。しかし、入学して2ヶ月が経過した頃から「なんだか自分が思っていた大学生活と違う。自分がやりたいことは違うかもしれない」という気持ちが芽生え、急遽、北海学園大学の法学部へ編入を決意したそうです。法学部に編入した理由は「ディスカッションしたり交渉したりするのが割と得意で好きだったという理由とキムタクの『HERO』かっこいいなって思って(笑)」と話してくれました。そして合計4年半の大学生活を送った池田さんは、なんとその間200単位を取得。一般的に4年制大学卒業に必要な単位数は最低でも124単位と言われていますが、”とにかく何事も場数を踏む”という考え方はその頃からあったといいます。
身をもって感じた少子高齢化の影響。地元旭川を若返らせるためにバレーボールチームを設立
大学卒業後、約1年半は高校のバレーボールチームのコーチをやっていたそうですが、ほぼニート状態の時期もあったとか。「僕が20歳の時に父が建設業で起業をしたのですが、父が僕に将来会社を継いでほしいという話がでまして。それで後継ぎになるため、3年間東京のメーカーで営業として経験を積みました。その後、27歳の時に旭川に戻ってきたのですが、世の中で少子高齢化が始まりだした時期とも重なり、父の会社も同じく高齢の方が多くなってきて、若い方がいない状況でした。この状況で自分が会社を継ぐのは、正直無理だなと思ったんですよね」と当時の状況を説明してくれました。
しかし、この状況を逆手にとって会社を復活させることを考えた池田さんは”採用”の部分から手伝うことを決め、そのために自分が強いコネクションのある”バレーボール”に焦点を絞ったといいます。
「1つの会社として、スポーツを軸としてやってみることで、町が若返って元気になる可能性があるのかなと直感的に思いました」
そして2016年、一般社団法人としてプロバレーボールチームを設立。設立時は世の中のルールなども全くわからず、周りの方の意見を頼りに動いていたといいますが、ある時から”意思決定のスピード感”が気になったという池田さんは、翌年2017年に株式会社にすることを決めました。「当初はもちろん手探り状態ですが、実際に運営側に回ると超高速で意思決定をしなければならない状況に直面しました。そして場数を踏むためにも意思決定のスピードを上げる必要があったので、それが株式会社にした理由の一つです。当時から意思決定をし続けたおかげで、現在はどんなトラブルにも動じなくなっています!」と笑顔で話してくれました。
「バレーを観戦するではなく、土日の娯楽として来てください」というアプローチ方法
「スポーツ好きな人の割合って、旭川の人口の何%いると思いますか?さらにスポーツの中でもバレー好きな人の割合を考えて、さらにそのバレー好きな人たちが土日に試合観戦に行く割合を考えると…。正直、その割合だと会場は満員にならないんですよね。なのでヴォレアス北海道を運営する会社として、バレー以外のコンテンツ作りに力を入れることで『土日の娯楽』、エンタメとして来場していただける方が増えると確信しています」と熱く語ってくれました。実際に会場のフードコンテンツは池田さんをはじめ、スタッフの方に厳選された地元ならではの商品や超健康志向の食品が出店されており、そのフードを楽しみに来場する方も多いとか。”スポーツ観戦に行く”という感覚ではなく、”家族や友達を誘って充実した一日を過ごしたい”と思っている方々向けの娯楽として今後定着されそうです。
大きな転換期を迎え、見えてきた組織の課題。そしてSNS時代だからこそ、気を付けたいこと
ここ数年のコロナ禍もあり、同時に組織が急速に成長していく中で見えてきた課題として”言語化の習慣化の必要性”があったといいます。「この2~3年の間、みんなそれぞれ自分のやりたいことをやっていく中で、ミッション・バリュー・ビジョンの再定義をしました。というのも僕がコミュニケーションをする上で、突発的なことを言ってしまったり、想いの言語化が習慣化されていなかったので『どういう考えで、なぜやっているのか?』ということをスタッフや選手に伝えられてなかったんですよね。でも、『こういう未来のためにやっている』ということをひたすら浸透させてもらったおかげで、ようやく色んな想いが可視化されてきたと感じています」と語ってくれました。
「ヴォレアスはなぜ存在し、どこへどう向かうのか」 ミッション・ビジョン・バリューを定義しました
また、現代に組織運営をする上で欠かせないツールである”SNS”。SNSは情報収集をするのにすごく便利なツールである一方、だからこそすごく気を付けなければならないことがあるとも改めて話してくれました。「SNSって知らないうちに自分が知りたいことだけが整理されてますよね。なので『自然と自分の情報は偏っている』という前提でいないといけないと思ってます。SNS時代は無意識だといつの間にか同調しちゃってる自分がいたり、同調圧力でマウントをとられてしまう時代なので『情報の両側をみる』ということを意識して、僕は情報収集してます」
過去には大きな失敗やタラレバもあるそうですが「自分の過去を振り返る事自体が不毛だな」と感じている池田さん。逆境を経験した時に見えてくる課題を次々と交わすことができるのは、過去を振り返るよりも前を見ることが多いからということが表情からも伝わってきました。
「日本一を目指しているが、それがゴールではない」ヴォレアスのこれからの3つの柱
株式会社VOREASが3つの柱として現在掲げているのは、1つ目がライブエンタメ事業、2つ目が環境事業、そして3つ目が食の事業だといいます。「『ヴォレアス北海道』はスポーツチームとしてのイメージが先行していますが、実際は”ライブエンターテインメント”としてスポーツをやっているという感覚です。なのでスポーツ事業ではなく、ライブエンタメ事業なんです」とスポーツチームを運営する会社としては珍しい考えを教えてくれました。
また、2つ目の環境事業を行う上で大切にしていることは”嘘になっちゃいけない”ということ、そして”有言実行すること”だといいます。「例えば、エコバックを作るのにどれだけのポリエステルを使用しているのかなど。なんとなくではなく、リアルな数字を調査して、実際にスポーツチームとして環境問題に対して主体的に取り組んでいきます。そして環境問題に取り組むには企業としても新たに投資をしないといけない部分もあるため、お金をかけずにできる環境活動についても他の企業様と一緒に考えながら現在動いています」
そして、3つ目の食の事業に関しては、食品の一次産業の方と一緒に自ら作るところから総合的にプロデュース行い、それを実際に試合会場で販売したりなど、本気でおすすめしたい食品作りに力を入れているといいます。
「ヴォレアス北海道が活躍することで、その会場で使用している環境問題に配慮した備品を実際に使用してもらったりもできる。それにその会場で販売している食品のPRもできる。それらはすべて相互関係が成り立っていて、説得力が増すんです」とすべての関わる人たちにとってプラスとなる仕組みを考えているといいます。
プロスポーツチームが販売する、飲んでカラダが喜ぶノンアルコール健康ドリンク「生ハニージンジャー」| ソーシャルプロダクツ・アワード2022にてソーシャルプロダクツ賞を受賞
https://beautypost.jp/115932/
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これからは”健康”について、多方面から考える時代。”時間”と”食”の相互作用
「世の中のお母さんへ。完璧を求めすぎないでください。家事も育児も仕事もこなして、かつ自分磨きもしてって、みんな1日24時間という時間は平等なのにその中ですべてをこなすのは大変すぎます。とにかく妥協できるところは妥協してほしいです」と心温まるメッセージをくれた池田さん。
共働きなど社会全体の働き方が変わってきており、なかなか自分の時間を確保することが難しくなってきている時代を乗り越えていくため、会社としても特に日常の食事に焦点を充てているといいます。また、時間に余裕がなくなったり、生活が苦しくなると”食事”に対しての優先度が下がることもあり、どうしてもジャンクフードに頼り、結果いつのまにか不健康になっているという時間と食の関係についても話してくれました。
「食の事業を立ち上げている理由として、病気にならない体づくりをしていかないといけないということがあります。具合が悪くなってから病院で薬をもらって治すではなくて、日々の食事を見直すことで、多くの方が『未病』の状態で防げると思っています。実はその考え方が両想いになって、2020年11月から地元旭川の森山病院さんの院内にヴォレアスSHOPをオープンさせていただいているんです」と新たな取り組みも紹介してくれました。森山病院の理事長の森山領さんは”医療に頼らない医療を目指す”と提言されており、食と運動による病気にならない健康づくりを病院として行っています。
「スポーツの人って思われているし、スポーツの会社って思われていると思いますが、そういった前提を一回フラットにして僕たちの活動全体をみていただきたいです。その活動を体現しているのがヴォレアスなので、ぜひ一度皆さまのご来場をお待ちしています」
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