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- 【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㉒バスガイドもできるボールペン画家・原田香苗さん ~まちの第一印象は、最初に出会う人で決まる。だからそのチャンスを生かすまち作りをしていきたい!~

【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㉒バスガイドもできるボールペン画家・原田香苗さん ~まちの第一印象は、最初に出会う人で決まる。だからそのチャンスを生かすまち作りをしていきたい!~
えぞ財団
2022年11月11日
もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、原田香苗(原田カーナ)さん。北海道釧路市でバスガイドの仕事を皮切りに、自治体や企業と協力しながらあらゆる産業と観光業を繋ぐ”観光クリエイター”として常に最善を尽くし活動されています。
目次
原田香苗(原田カーナ):1978年北海道釧路市生まれ。高校卒業後、観光バス会社に就職し、約10年間全道バスガイドとして勤務。その後、観光案内所・観光列車客室乗務員などを経験し、2019年より観光クリエイターとして地元釧路を拠点に活動中。趣味は原点回帰ができるひとり旅。
旅好きな両親のおかげでいつの間にか身に付いたアレンジ力
「今思い返してみても『旅行会社へ行って、片っ端からパンフレットをかき集めて、それをワクワクしながらずっーと眺める』というのが小さい頃からの趣味でした」
北海道釧路市の旅好きな家庭に生まれ育ち、現在も地元で活動を続ける原田さん。”旅を通していろんなことを学んでほしい”というのが家庭の教育スタイルだったといい、小学校6年生の時に初めて妹と2人で東京旅行へ行った時のことを話してくれました。「両親が先に東京に滞在していたので、妹と2人で自宅からバス停へ向かい、路線バスに乗って駅まで行って。そしてまた路線バスに乗って、空港でチェックインをして、飛行機に乗って、羽田空港の到着ロビーへ向かうということが度々ありました。当時小学生だった自分たちにとって、この一連の流れは、ものすごいミッションでした。でも、こういう経験のおかげで旅行がどんどん好きになって、旅行に関わる仕事がしたいと思ったんだと思います」
高校生になってからは道内各地へひとり旅を決行し、様々なことを1人で乗り切る力を身に着けたという原田さん。「今のように『自撮り』という概念はなく、使い捨てカメラの時代でした。写真を撮ってもらうのも誰かに声をかけなきゃいけないし、スマホもないので道順がわからなくなったら人に尋ねたり。とにかく1人でなんとかしなければいけない状況だったので、だいぶ鍛えられました(笑)」
続ければ続けるほど奥深さを感じられるバスガイドの世界
高校卒業後の進路として観光系の学校に進学することも検討していたといいますが、家庭の都合ですぐに就職をすることを決めたという原田さん。そんな時、地元のバス会社の求人募集が目に留まり、観光業界へのスタートを切ることになったそうです。
「旅行の仕事に携わりたいと思っていたのですが、本音を言うとバスガイドという選択肢は当初ありませんでした。上司にも『3年間バスガイドとして働いて、お金を貯めたらバスガイドを離れます』と入社した時から伝えていたんです。でも、実際に3年が経ち、退職届を出した途端、涙が止まらなくなりました。『本当は辞めたくない』という想いが溢れちゃいました」
新人バスガイドとして添乗していた際にお客様から言われた「また来るから、それまで頑張るんだよ!」や「1日で北海道のイメージが変わったよ、ありがとう」などの言葉が原田さんの原動力となり、「次来てもらえるまでに、もっと上手くなりたい。ちゃんと『バスガイド』でいなきゃいけない」という気持ちにいつの間にか変わっていたと話してくれました。
インプットとアウトプットが同時にできる原田さん流の”暗記方法”とは!?
一般的に“バスガイド”と言うと修学旅行を思い浮かべる方が多く、地元ならではの歌を歌ってくれたり、クイズで車内を盛り上げてくれたりと楽しいイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。そのようなイメージがある一方で、バスガイドの方々は歴史や文化などお客様に楽しんでもらうために、ものすごい数の教科書を暗記したり、様々な下準備をされているそうです。「独り立ちするまで、先生のもとでだいたい3年~5年をかけて養成されます。先生は全道を網羅している素晴らしい方たちばかりで、すごくかっこよくて、こういう人に私もなりたいって思ったんです。ただ、バスガイドは暗記もメインの仕事なので自分なりに結構試行錯誤しました」
人それぞれ暗記方法は異なると言いますが、原田さんが編み出したのは”鏡を見ながら話す”という暗記方法だそうです。実際にお客様に向けて話しているように自分の表情をみることで、受け取る側の気持ちも同時に考えることができるといい、一石二鳥だといいます。
「教科書と見つめ合っていると甘えが出ちゃって話せないので、お客様ってどういう感じで私の話を聞いてるんだろうって考えながら、うろ覚え状態で鏡を見てひたすらしゃべってました」
「子どもたちの将来のために、母として出来ることはなんだろう」未来を見据え働く理由
24歳の時に第1子を出産した原田さん。バスガイドは出張も多く、泊りがけの仕事もあったため、家族やママ友の手厚いサポートがなければ両立できなかったと振り返ります。
「当時、観光業は『娯楽や趣味』というイメージが強く『子育てをお休みしてまでする仕事なのか?』という雰囲気がありました。同時に、子どもに心臓病が発覚し、出産してすぐに子どもの生死に向き合わないといけないという状態でスタートした育児だったので、病院生活も長くて。ただ、その時に『この子が大きくなって、地元で働きたいってなった時、釧路市にはそういう受け皿があるのかな』と。私が直接子どもの病気を治してあげることはできないけれど、子どもの将来のために何ができるだろうって考えたんです」
結果、原田さんの答えは”観光業”でした。子どもに付き添い長期の病院生活を経験したことで、福祉の仕事をしている方々や同じ境遇にあったお母さんたちにも何か還元したいという想いが湧いたといい、「間接的にはなるけれど、子どもが成人するまではとにかく頑張ろう」とこの時決心したといいます。
現在のライフワークの1つである”ボールペン画家”
28歳で第2子を出産した際にバスガイドを退職し、約3年間専業主婦を経験した原田さん。その後、フリーランスとして復職し、現在は”バスガイドもできるボールペン画家”として活動されています。
「きっかけとなったボールペン画は、まだバスガイドとして勤務していた頃に愛別町の湯元協和温泉でみた『きのこのフルコースの絵』でした。実はあの時期、大型観光バスツアーがだんだん少なくなり、このままだとバスガイドの仕事もなくなるのではないかという危機感がありました。そんな時、会社のホームページに『バスガイドのおすすめツアーコース』を紹介する記事を載せることになりまして。その準備をしている最中に、掲載用の写真がないことに気づき、たまたまガイド室にあったボールペンで絵を描いたんです。そしたら後日ありがたいことに『どこのイラストレーターさんですか?』と問い合わせをいただいて」
その約1年後、問い合わせをいただいた企業の方と仕事をすることになり、その方々との飲み会の席で決まったのが現在の屋号である”バスガイドもできるボールペン画家 原田カーナ”だと笑顔で教えてくれました。
着実に形作られている隙間産業 “観光クリエイター”という仕事
2019年より”観光クリエイター”という新しい職業を開拓している原田さんに、とある1週間のスケジュールをお聞きしました。
「現在は週に2回程度、観光列車の乗務員をしています。その他は旅行会社のツアーガイドやモニターツアーのお仕事で2泊3日の出張へ行き、その合間でツアー造成の資料を作成したり、商品パッケージ用の絵を描いたりしています。基本的に何本も仕事を掛け持ち状態なので、1週間の中であんまりお休みはない感じです。このスケジュールが成り立っているのは、周りの家族や友人のおかげです」
原田さんが仕事をする上で軸となっている”観光”というキーワード。最近周りからは「今はそういう仕事もやってるんだ!」と驚かれることも多いそうですが、原田さんの中では”すべて観光で培ったスキルで、そのスキルを異なる手段で使っている感覚で、すべては今まで行ってきたことの派生でしかない”と考えているそうです。
「観光って、やっぱり色んな産業の方々と関わってこそ成り立つ産業だと思うんです。それに色んな企業や自治体に『普通に』取り入れてもらえるような仕組みづくりができればいいなと。今はとにかく自分がそのラインを引いているという自覚を持って邁進します!」
「現在は週に2回程度、観光列車の乗務員をしています。その他は旅行会社のツアーガイドやモニターツアーのお仕事で2泊3日の出張へ行き、その合間でツアー造成の資料を作成したり、商品パッケージ用の絵を描いたりしています。基本的に何本も仕事を掛け持ち状態なので、1週間の中であんまりお休みはない感じです。このスケジュールが成り立っているのは、周りの家族や友人のおかげです」
原田さんが仕事をする上で軸となっている”観光”というキーワード。最近周りからは「今はそういう仕事もやってるんだ!」と驚かれることも多いそうですが、原田さんの中では”すべて観光で培ったスキルで、そのスキルを異なる手段で使っている感覚で、すべては今まで行ってきたことの派生でしかない”と考えているそうです。
「観光って、やっぱり色んな産業の方々と関わってこそ成り立つ産業だと思うんです。それに色んな企業や自治体に『普通に』取り入れてもらえるような仕組みづくりができればいいなと。今はとにかく自分がそのラインを引いているという自覚を持って邁進します!」
これからの課題は「きっかけをどうやって創作するか」ということ
原田さんが仕事をする上のテーマとして大切にしている”温故知新”という四字熟語。次世代の新たなリーダーを創出していくことや何か新しいことを行うための環境作りを行っていく際には、いつもこのテーマを思い返すそうです。
「観光にまつわる様々な企画開発をしていますが、やはり今までの道のりをつくってきてくれた方たちがどういう想いでここまで来たのかという流れを、きちんと引き継ぎたいなと思っています。先輩方を尊敬しているからこそ、歴史のある仕事内容をしっかり次世代にも伝えたいと思うし、観光業をやっている方々の失礼にはならないように。自分だけが良いと思うことではなくて、周りと相談しながら進めることを意識しています」
今までは成り立っていたことが、時代の変化に伴い成り立たなくなっただけのことなので、アレンジをして、さらに継承していけるような仕事の仕方を今後も続けていきたいと明るく語ってくれました。
オンライン旅行はリアルな旅行の代替ではなく、旅行の新たな選択肢になる!
コロナ禍がきっかけとなり各旅行会社で開催されている”オンライン旅行ツアー”。世間では、”リアルな旅行の代替がオンライン旅行”という見方もありますが、原田さんは全くの別物であり、新たな旅行形態が増えたという感覚だと話します。
「小さい頃、旅行のパンフレットを見ていた時『ドラえもんのどこでもドアがあったらいいのに』ってずっと思っていたんですよね。まさに今でいうとそれが『オンライン旅行』だなと。リアルな旅行には正直叶わない部分もありますが、今まで様々な理由で旅行に行けなかった方が旅行に行けるようになりました。ですので代替ではなくて、旅行形態の選択肢が増えたというのがすごく嬉しいんです」
現在、オンラインツアーは常時販売しているわけではないそうですが、移動の部分がオンラインになったことで、距離も関係なく、旅行先の選択肢も増え、プラスのメリットがたくさんあるといいます。
「旅行に行かないと味わえない『旅先の親切は沁みる』という言葉。旅に出るということには不安もつきものですが、それ以上に楽しいことがたくさんあります。その感覚を味わっていただける方が増えることを願って、旅がもっと皆さんの身近な存在になるように活動していきます」
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