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【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㉓芽室町役場渡辺浩二さん ~仕事でも遊びでもない「公私一体」インフォーマルな時間を大切にする生き方~
えぞ財団
2022年11月30日
もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、渡辺浩二さん。芽室町で地域の活性化に奔走し、公務員ながらも「公私一体」となってマチの未来を創る“スーパー公務員”です。
目次
渡辺浩二:芽室町魅力創造課課長補佐兼魅力発信係長。1974年北海道帯広市 出身。1993年に芽室町役場に入り、開発商工課、税務課、総務課、企画課などを経て2004年より北海道庁に出向。プライベートでは十勝芽室コーン炒飯地域活性化協議会などの事務局長を務める。趣味はサウナ、飲み会、キャンプ。
組織改革で誕生したユニークな部署「魅力創造課」
北海道の中でも、注目される十勝。特産品やその自然を生かしたアウトドア、地方創生などの動きが非常に多い地域の一つ。そんな活気ある十勝近郊で開催される数々のイベントで見かける男性…それが「スーパー公務員」こと、渡辺浩二さんです。役場の公務員といえば、黙々とデスク作業をこなす姿を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし渡辺さんは、「公私一体」を掲げ、芽室を中心に駆け回っています。
渡辺さんが所属しているのは、芽室町の魅力創造課。令和3年4月に、役場の組織改革の際に創設されたばかりの部署です。
人口の減少、少子高齢化、地域コミュニティの希薄化、そこに加え、新型コロナウイルスの影響による新たな社会…北海道のみならず、今や声高に議論されるこの問題は、芽室町にとっての課題でもあります。
「課題解決のために組織も変えていかなきゃいけないということで、『地域の課題解決』、『埋もれている新たな可能性の最大化』この2つの視点で、時代に合わせた組織改革の中で魅力創造課が新設されました」と渡辺さん。
渡辺さんは、現在まちなかの再生や観光物産振興、ふるさと納税、さらに移住定住など幅広い内容を担当。しかしメインとなるのは、「ビジョンマップ」を元にした未来の芽室町のシティプロモーションです。
人口の減少、少子高齢化、地域コミュニティの希薄化、そこに加え、新型コロナウイルスの影響による新たな社会…北海道のみならず、今や声高に議論されるこの問題は、芽室町にとっての課題でもあります。
「課題解決のために組織も変えていかなきゃいけないということで、『地域の課題解決』、『埋もれている新たな可能性の最大化』この2つの視点で、時代に合わせた組織改革の中で魅力創造課が新設されました」と渡辺さん。
渡辺さんは、現在まちなかの再生や観光物産振興、ふるさと納税、さらに移住定住など幅広い内容を担当。しかしメインとなるのは、「ビジョンマップ」を元にした未来の芽室町のシティプロモーションです。
ビジョンマップとの出会い〜町民と一緒に描く「20年先の未来」〜
「このビジョンマップは、芽室町の未来予想図です。芽室の町民に協力してもらって創ったもので、高校生たちも一緒に考えてくれました。20年後は高齢者…という方たちの考えももちろん大事ですが、20年後実際に芽室の未来の中心を担う次の世代の子たちにも一緒に考えてもらうのは、とても重要なことですよね」
まさに、芽室の魅力と未来が詰まった宝の地図!役場でも全職員が研修を受け、地域プロデューサーの山本 聖さん(JR東日本企画)、中村 真也さん(一般社団法人 北海道プロデュース)、そして手島 旭町長とともに、地域ブランディングやシティープロモーションについての理解を深めていったといいます。町民と一緒にこのビジョンを一つずつ実現していくという渡辺さんですが、短期的に目に見えるような成果を挙げることが難しい取り組みなため、成果の見せ方を工夫していくことが当面の課題の一つでもあるそう。
“こんなまちになったらいいな”という町民の夢が詰まったこの地図をもとに、実際にどの部分から実現していくかを検討し、抜き出したのが、内向きの「まちなか再生」、外向きの「野遊びSDGs事業」の2つの政策でした。
十勝、芽室の魅力的な場所を線でつなぐ「野遊びSDGs」
まちなか再生の基盤となるのは、芽室町への郷土愛を高め、地域コミュニティの強化。そして「野遊びSDGs事業」を通し、経済や人の流れを高めていくことを目指しています。名前からして楽しそうな事業ですが、一体どんなことをするのでしょうか?
「ノアソビSDGs協議会」の理事長は株式会社スノーピーク 代表取締役会長の山井 太さん。野遊びを通しSDGsや地方創生の実現を目指す取り組みで、芽室町のほかにも、秋田県大館市、三重県いなべ市もまたこのプロジェクトに参加しています。
「芽室には魅力的な場所が点在しているんですが、なかなかその良さを生かせていませんでした。町民でその資源の良さを再確認して、点在する場所を線でつないでいこうとしています。そうすることで、観光のルートになり、それが商品になる。」「現在3年をかけて、その“観光商品”をつくっていて、今年度でいくつかの商品ができる予定です。こういったものって、一歩間違えると作って終わり…というケースが少なくないんですが、実際に継続して運営できるように、その組織作りまで行っている最中です」
具体的なツアーの例を挙げると、サイクルツーリズムに力を入れているので、まず移動は自転車。ツアーの内容としては、宿泊もできる新嵐山スカイパークが拠点になって、農業の街の良さを感じられる畑での体験、芽室公園に寄ったり、町内のカフェや飲食店を回ったり…というものを考えています」また、今後は芽室だけではなく十勝全体に視野を広げることで、3〜4日滞在ができるようなツアーも構想していると話します。
町に溶け込む自然、風通しのよさ…離れたからこそ見える芽室町の魅力
渡辺さんは帯広市の出身で、学生時代はバトミントンに打ち込んで過ごしました。「目標もなく都市の大学に進むよりは、何となく良い印象を持っている芽室町に就職してみよう」と、18歳で役場に入ります。そこから現在に至るまで、ほとんどの時間を芽室で過ごしてきましたが、途中北海道庁に出向することになり、2年間札幌で生活する期間があったそう。
「札幌での2年間はとても楽しかったですが、やはり道庁ともなると組織が大きくて、正直なところしがらみを感じる部分もありましたね。芽室町では町長との距離も近くて、やりたいことをやりやすい。ありがちですけど、出向を終えて芽室に帰ってきたときに日高山脈の山並みを見て、『やっぱりここがいい』と再認識しました」と振り返ります。
2016年には、北海道からの唯一の参加者として人材育成プログラム「東京財団週末学校」の研修に加わり、8日間の日程で米国オレゴン州ポートランド市での調査実習も経験しています。
遊びでも仕事でもない、「真ん中の時間」を活用して見えた“人とのつながり”
そんな渡辺さんが貫いているのは、「公私一体」のスタイル。そのきっかけは32歳のころ、プライベートの時間を使って取り組んだ町づくりの活動でした。「芽室町はスイートコーンの生産量が日本一なんです。それをご当地グルメとしてPRしようと、町民の人たちとコーン炒飯を開発しました。当時役場内では『それってどういう立場でやってるの?公私混同じゃない?』という声もあがりましたが、『いや、”公私混同”というよりは”公私一体”なので、どちらも自分のためにも、まちのためにもになる』と思ってやってきました。
「公私一体でいいんだよ」という話は現在若い子にもよく話していているという渡辺さん。手島町長もまた、同じようなビジョンを持っているそうです。「完全に遊びでも仕事でもない、真ん中の時間をうまく使うといいんですよね。町長の言葉を借りると、この“インフォーマル“な時間を大事にしたいと思っています。
こういう生き方をしていると、町民の方からも信頼して貰えるようになって、仕事だけの表面的な付き合いと、人として付き合っている人との違いでしょうかね、色んな人に声をかけて貰えて、必要とされるのがうれしいです」
こういう生き方をしていると、町民の方からも信頼して貰えるようになって、仕事だけの表面的な付き合いと、人として付き合っている人との違いでしょうかね、色んな人に声をかけて貰えて、必要とされるのがうれしいです」
人口が減ることを恐れる必要はない〜優しさが連鎖する社会へ
「魅力創造課ができてからのこの約1年半で、色々な人とのつながりや信頼できる仲間が本当に増えました。次はこのつながりをどう広げ、具体的な成果につなげていくか、日々悩んでいるところです」
公私一体となって活動する渡辺さんへの信頼感からか、活動されている様子やSNSを見ると、渡辺さんはいつも多くの人に囲まれて生き生きとしています。
「ビジョンマップの作成にあたり、未来へのビジョンを共有するのに、大きな障害はありませんでした。何故かは正直わからないけれど、『町民と一緒に町をつくっていく』という気持ちが、周りの方に自然に伝わったのではないかと思います。人口が18,000人という芽室町の規模感も、ちょうど良かったのかもしれないですね。
この先人口が減っても、住んでいる人の熱量や地元愛があればその町は魅力的だろうし、結果的に移住などにつながるかもしれない。人が減ることを恐れる必要はない、と思ってやっています」
「最近では、町民の間で何かあるととりあえず魅力創造課にいけばなんとかなる、なんて言われているんです(笑)人と人のつながりからしか明るい未来は生まれません。大人が本気で楽しむ姿を子どもたちに見せたり、批判の連鎖ではなく、優しさが連鎖する社会にしていきたいですね」
(ライター・伊藤はるな)
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