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【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㉚無職・対馬慶貞さん~「僕、ほんと北海道が大好きなんですよね。だから、あえて道外に行くんです」~
えぞ財団
2023年5月17日
もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、対馬慶貞さん。現在は子どもたちのことを一番に考えて、大好きな北海道を離れオーストラリアのゴールドコーストで生活されています。”学びの多様性”をコンセプトとして、数多くのキャリアから得た経験を子どもたちに伝授しながら、北海道の価値を見出し続けます。
目次
対馬慶貞:1980年札幌市生まれ。北海道札幌東高等学校を卒業後、立教大学 理学部 化学科へ進学。卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社へ就職するも、28歳の時に経営学者のピーター・F・ドラッカーに憧れて、米国クレアモント大学院ドラッカースクールでMBAを取得。その後、株式会社日本ファシリティ 専務取締役、生活協同組合コープさっぽろ 執行役員CDOなどを歴任。2023年4月からは家族5人でオーストラリアのゴールドコーストに移住し、現在は”ワーク・アズ・ライフ(仕事とプライベートの両方に価値を置き、人生を充実させていくこと)”を実践中。
BOSS TALK #13 自称「デジタルの翻訳者」DXは難しくない?DXは何のため?生活協同組合コープさっぽろ 執行役員最高デジタル責任者CDO デジタル推進本部長対馬慶貞
4歳で発揮した”開拓者魂”
現在43歳で、3児の父である対馬さん。これまで数多くのプロジェクトを様々な手法で形にされていますが、そんな対馬さんの原点ともいえる子ども時代のエピソードをお聞きしました。「僕が両親からよく聞いていたのは、4歳の時の家出騒動。警察や両親の会社の方たちが総出で探してくださったおかげで6時間後くらいには見つかったそうですが、4歳とは思えないほどの距離を歩いていたそうで、今思うと、当時から『開拓心』が人一倍強かったかもしれないです(笑)その節は皆さまありがとうございました」小さい頃から”自分の思った道を突き進んでしまう性分”だといいますが、中学では生徒会に入り副会長を務め、高校では好きな子の影響でテニス部に入部したという対馬さん。学生時代は、学園ドラマで描かれるような充実した青春を過ごされたそうです。そしてこの後の経験から、対馬さんの北海道愛が強まっていきます。「高校2年生の時、大学受験をどうするか決めないといけなくて。進学校で、周りは北海道大学を目指す人が多かったのですが、東京に親戚がいたこともあり『一度はあの華やかな東京の姿を見に行きたい』ってなって。それで独自路線を辿り、東京都内の大学に進路を絞りました。結果、北海道を離れて異なる場所で生活をすることで、客観的に違いが見えて『北海道のすごさ』を認識したんですよね。違いはたくさん感じましたが、素直に『あ、北海道で産まれてよかったな』って。まさに現在にも繋がっていますが『当たり前だと思っていたものが当たり前じゃない』って初めて気付けたきっかけにもなりました」
課題に直面しながら、経験値を貯め、人生を楽しむ。対馬さん流RPGの極意
大学卒業後は、東京で働くことを決め、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、「IBM」)へ就職した対馬さん。IBMでは、上海で日本法人の子会社を設立する仕事や日本の地方銀行のシステムの責任者として働いていたそうです。そのため、様々な土地へ行ったり、飛行機に乗ってひたすら移動していることも多かったと話します。また、”なぜIBMに就職を決めたのか?”についても話してくれました。「当時、ありがたいことに3社の内定をいただいてました。そして最終的にIBMに決めた理由は『同期の数』です。というのも元々僕は歴史とかが好きな文系寄りで、理系が苦手(笑)ただ、時代の流れが『IT系』で。それで僕は、自分の能力には限界があると感じていたので『補えないものは周りに助けてもらおう!』という精神でした。ITに強い世界中の同期と仲良くなれば、一生ITに困ることはないかなと思って。いつもドラクエのRPG風に考えるんですが、人生のモットーは『他力本願』と誇りを持って言っています(笑)」
IBM時代の同期は、サークルでいうと部長クラスのメンバーが集まっており、仕事以外でも毎週の休日まで、あらゆる企画やTODOリストが作られていたとか。また、外資系のため、組織風土も成果主義だったといい、”20代前半からマネジメント側”という環境も普通だったと当時を振り返ってくれました。「年功序列ではないので、タイミングが合って24歳くらいの時にマネジメント側に立つことができました。当時プロジェクトメンバーは50人くらいでした。会社はフラットな組織で『何でもチャレンジして、ダメだったら即終了』という割とドライな社風で、最初は驚きの連続。ただ、マネジメントの部分では自分のキャパシティを超えていた部分もあって、辛くなってしまいまして。『どれだけ働いてももう限界だな』と感じていた頃、ちょうどドラッカーの本を読みまして。それからドラッカーのマネジメントに興味を持ちました」このタイミングで、経営学者のピーター・F・ドラッカーの作品に出会った対馬さん。これがきっかけの1つとなり、会社を辞めることを決意します。
客観的に見ることで感じた北海道の潜在能力
28歳の時、今後出世を目指す上で必須スキルとなっていくマネジメントを学ぶため、アメリカの大学院へ通うことを決めた対馬さん。そして2年間のアメリカ生活を経験し、マネジメントの第一人者であるドラッカーの”米国クレアモント大学院ドラッカースクール”でMBAを取得されています。「スクールは、とにかく多様性がすごかったです。アジア人が多かったのですが、『北海道が好き』と言う人が多くて。北海道出身の僕としては、その一言だけでもやっぱり嬉しかったですね。『外からみる北海道』を感じたり、北海道と海外の違いをいろんな場面で知ることができました」その後、30歳の時に北海道に戻ってきた対馬さん。帰国した直後でもあり、北海道へ貢献したいという強い想いもあったため、お父さんの会社である株式会社日本ファシリティで働き始めたと話します。「色々なタイミングが重なって、父の会社でも『北海道ブランド』を海外に打って出ていくため海外事業を始めることになり、マレーシアのショッピングモールに道内企業のお店を出店することになったんです。その際、道内企業の皆さんに協力していただき、北海道物産展のような感じで出店すると、商品名に『北海道』と付いているものがとにかく人気で。海外の方たちが『北海道をどのように捉えているか』ということを体感しました。この体験が30代前半です」
「1%は諦め、10%で我慢して総コストを抑えよう」という考え方のCDO時代
海外事業が一段落した35歳の時、縁があり、生活協同組合コープさっぽろに転職することになった対馬さん。数多くある業種の中で、小売業をメインとされている会社に転職した理由を話してくれました。「道外での経験を踏まえて『北海道に貢献したい』ってずっと思っていたんですが、どうやって貢献したらいいかわからなかったんですよね。そのジレンマが僕の中でずっとありまして。そんな中で道外の方が『北海道ってすごいよね』と口を揃えていうのが『観光』と『農業』だなと思ったんです。それで小売業であり、旅行業も事業としているコープさっぽろなら『北海道への貢献方法』を具体的に見つけることができると感じ、転職を決めました」小売業の現場で働いていた際は全世代の方と関わる機会があったといい、世代の多様性を身をもって感じていたと対馬さんは話します。また、コープさっぽろ時代は1年単位で様々な事業に携わっていたといいますが、その中でも唯一2年間携わった事業があったとか。「DXを推進するために後半の2年間はCDO(執行役員デジタル推進本部長)としても働いていました。その時いつも言っていたのは『システムエラーの許容率』の考え方について。例えば、システムを作る際、『10%のエラーを許すのか?』それとも『1%のエラーしか許さないのか?』。もちろんお客様がいらっしゃるので、エラーは少ない方が良いですが、総トータルの費用や時間を考えた時、数年後に必ず更新することを考えると、10%でいいと思うんですよね。そうすると費用が100分の1や1000分の1で済んでしまうがITのすごさでもあるので。最初は抵抗もありましたが、この考え方を特に大切にしていました」
そして、2023年3月に約8年間働いたコープさっぽろを退職された対馬さん。この後、”北海道の魅力は他と比較することでより知ることができる”ということを子どもたちに伝えるため、家族全員で新たな冒険を始めます。
“どちらかを選ぶ時代”ではなく、”両立を当たり前にする時代”のモデルとなりたい!
テレワークが進んだことで、仕事とプライベートの境目が曖昧になったり、働き方に多様性が現れた一方で、家族での過ごし方にも多様性があってもよいのではないかと対馬さんはいいます。また、世の中ではたくさんの子育てに関する企画が開催されていますが、実際にそこに参加しているのが”子どもとお母さん”ということに違和感を感じていたという対馬さん。自身の子育てへの想いや小売業の現場で体感したことを語ってくれました。「みなさん人生において優先順位があると思いますが、この年齢で僕自身が『今しかできないことはなんだろう』と考えた結果、答えは『子どもとの時間を大切にすること』でした。現在、子どもたちは小学生ですが、この貴重な時期を逃すわけにはいかないなと。おそらく一般的に子育て時期で多い親御さんの年齢は30~40代だと思うのですが、その年代の親御さんはちょうど仕事が忙しい時期ですよね。なので、子どもが一番遊んでほしい時に家に親がいなくて子どもは寂しい思いをするし、親も一緒に遊んであげられなくて葛藤があると思うし。ただ、これって時代遅れなんじゃないかなと。『二者択一の時代ではなくて、すべて平等にできる』ってことをまずは僕が体現したいなって思ってます!」
対馬さんが描く“学び”と”教育”の違い。そして海外移住の真意とは
日本で新学期が始まる2023年4月、オーストラリアのゴールドコーストへ移住された対馬さん家族。そしてテレワークのおかげで、家でも仕事が可能になり、仕事と両立しながら家族で子育てをすることも可能になった令和の時代。これまで仕事の優先順位も高かった対馬さんがこのような考えに至ったのは、子どもに100%の愛情を注いでくれたお母さんが1年半前に他界したこともきっかけだと話してくれました。「母親は亡くなるまで本当にずっと子どものことを考えてくれていました。昔から夜遅くまで公園で遊ぶのにも付き合ってくれたし、怒られた記憶もないし、とにかく味方でいてくれたんですよね。遺言はないですが『子どもに100%注いできた背中をみるように』と母親は言っている気がします。そしてこれからは『仕事をしている空間に家族がいる』ということがどんどん許される時代になっていかないといけないと思います。例えば、出張へ行くのも家族と一緒に行くとか。僕は子どもとの時間を大切にするために海外に移住していますが、そのおかげで僕も言語以外で学ぶことがたくさんあります。『教育』というと義務教育をイメージする方が多いと思うので、僕は札幌新陽高校校長の赤司さんから教えていただいた『学びの多様性』と言っていますが、学びは『体験』が基本なので、オンラインもオフラインも交えてやりたいと思ってます。それに『体験』とすることで関わる領域がとにかく広がるかと。子どもが学校で勉強している間は、僕は妻と観光してもよいし、『学び』に『遊び』を混ぜて人生設計をできるようになりたいです」対馬さんはお母さんが25歳の時に出産した子どもだといい、その年齢を自分に当てはめたことでより今の時間の大切さに気付かされたと話してくれました。
あらゆる気付きが学びとなる移住生活
移住中は”年代問わずいろんな国の友達を作ること”も1つの目的としながら、穏やかで新鮮な日々を過ごされているそうです。また、オーストラリアに決めた理由は、子どもたちにとって初海外であることや最初のステップとして世界の中でもハードルが高くなく、フレンドリーな地域にしたかったという想いがあるとか。その他には、時差もほぼないことや英語が第一言語ということ、そして札幌のような都会ではなく、田舎というのもポイントだそうです。「滞在して約1ヶ月経過しましたが、素晴らしい場所です。豊かすぎるぐらいだし、人も温かいし。そして早速ですが、オーストラリアのマグロが美味しくないということに息子が気づいたんですよ!息子はマグロが好きで札幌ではよく回転寿司に行っていたのですが、これが大事な気付きなんです。それにこれまで子どもたちは何事においても『安心・安全』を大事にして慎重派なので、僕の幼少期のエピソードを交えながら『どんなことも結果怒られてもいいから、好奇心でとにかくやってみたらいいよ』って伝えてます」実際に札幌で生活を続けていたら気付くことのなかったことに気付けたという体験の積み重ねを対馬さんはとても大切にされており、違いを受けれていくことが”学びの多様性”であると話します。また、その他にも近所の公園でサッカーをするだけでも”学び”があったとか。「子どもたちはまだ英語があまり話せないんですが、サッカーは世界共通なので一緒にできるんですよね。なので、わざわざ英語を勉強するのではなく、この『サッカー』という体験から英語をもらえばいいんです。大人も一緒で英語を勉強しようとすると諦める方もいるかと思うんですが、子どもが公園で遊ぶのに付き合って、そのコミュニティにいるだけで英語を学ぶことができるんです。まさにこれが『学びのマッチング』だと思っています」
“当初の目的が違っても、そこから派生して学ぶことがある”ということを教えてくれた対馬さん。一般的に多いのは、英語を学ぶためにお金を払って語学学校に通うという選択肢だと思いますが、”実は子どものサッカー仲間の親同士で日々会話をするほうがよほど実践的な学びになる”ということも気付かせてくれました。
これからの動きは子どもたち次第。対馬さんにとっては初めての”期限なし海外生活”
現在はオーストラリアに滞在されている対馬さんですが、世界中から人気のあるオーストラリアは、コロナ明けで移住希望者が殺到していることもあり、ビザの関係で3ヶ月しか滞在できないと話します。そこで次は、世界中からノマドワーカーが集まっているインドネシアのバリ島に移住予定だとか。ここからさらに、対馬さん家族の新たな冒険がスタートします。「オーストラリアは何もかもが揃っていて素晴らしすぎるので、バリ島へ行って、発展途上な部分も子どもたちに体験させてあげたいと思ってます。きっと周囲からは『海外に永住したい人』と思われているかもしれないですが、そうではないんですよ(笑)いつも道外を離れる時は『期間限定』と決めているので、離れることができてたんです。今回は子ども優先なので例外ですが(笑)それにどの土地へ行っても、やっぱり空気や食べ物、居心地などを考えると、北海道が1番!僕のこれからの役目は『北海道との違いをインプットして、それをアウトプットして、北海道に貢献できることを展開し続けること』だと思ってます。それと海外旅行から北海道に帰ってきた時に食べる『1発目のご飯』が美味しすぎるから、あえて海外に行ってるのかもしれないです!」
今回の冒険で対馬さんはどんな武器と仲間を手に入れるのでしょうか?乞うご期待です♪
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