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- 【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㊲和ハッカ農家/(株)滝上町和ハッカ・ラボ代表 藤村さん~夢を叶え滝上に移住。とにかく滝上の和ハッカを広く知ってもらいたい。農家&ラボ代表として邁進~

【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㊲和ハッカ農家/(株)滝上町和ハッカ・ラボ代表 藤村さん~夢を叶え滝上に移住。とにかく滝上の和ハッカを広く知ってもらいたい。農家&ラボ代表として邁進~
えぞ財団
2023年11月17日
もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、藤村利史さん。東京都出身で、小学生の時に滝上町をキャンプで訪れた際の衝撃が忘れられずいつしか夢は”滝上に住むこと”。現在滝上町在住で、”和ハッカ”(ミント)農家と商品開発などに挑戦し、国内生産の9割を誇る滝上町の和ハッカを日本中に広めていきたいと考えています!
藤村利史:1975年、東京都青梅市生まれ、世田谷区育ち。東京都内高校卒業後バイト生活をし、札幌市への引っ越しを経て、1999年に滝上町に移住。和ハッカ農家と、商品開発なども手掛ける(株)滝上町和ハッカ・ラボ代表。趣味は旅行、キャンプ。
都会育ちの小学生時には衝撃的過ぎた滝上町でのキャンプ体験。父の登山好きの影響もあり、毎年のように”山籠もり”
藤村さんは現在、オホーツクの滝上町で和ハッカ農家と商品開発なども手掛ける(株)滝上町和ハッカ・ラボの代表として精力的に活動しています。実は滝上町はハッカの生産量国内1位を誇る一大生産地です。現在、日本国内で使われている天然ハッカは、99%が輸入品で、国産の天然ハッカはとても貴重です。明治後期から始まり100年以上の歴史がある滝上町の和ハッカ栽培を守る一人である藤村さんは、北海道外からの滝上に魅せられた一人です。東京都でサラリーマンの家庭に、双子で産まれた藤村さん。兄と双子の弟と男3兄弟として育ち、父のアウトドア好きだったこともあり頻繁に、山菜取りや山登りについていっていました。藤村さんが小学校4年生の頃、滝上町で開催された“森の子どもの村キャンプ”に兄弟だけで参加しました。当時、想像していたキャンプだとボーイスカウトのようにすべてやることや段取りが組まれていたりすると思っていましたが、滝上町でのキャンプは正反対でした。「当時800人くらい大人や子どもが全国各地から滝上町の山の中に集結していました。今考えるととてもワイルドなキャンプでした。東京という大都会で過ごしていた自分たちにとって、8月の夏休みをフルで使うくらいの約1か月間、まさに山丸ごとが遊び場という感じで、子どもたちは大人の手を借りずに野営します。基本この1か月間は本当に自由で、釣りをする子、川を泳ぐ子、山登りする子、近くの商店に買い物に行く子とさまざまでした。例えば炊事洗濯も子ども達のみで行うので、火起こしから、炊事もやるわけですが、そこまで料理の知識もないのでほぼ毎日カレーライスやシチューだったのを記憶しています(笑)カレーやシチューもなんだか家で出てくるものとは程遠く、シャバシャバなルーをみんなで食べるみたいな感じです。そして暗くなったら寝て、明るくなったら起きるというような、まさに野性的な毎日。自分自身が自然の一部となるようなとても衝撃的なキャンプでした。今考えたらこのころから『将来の夢は滝上町に住む!』ことになっていました」と当時を振り返ります。
滝上から旭川までキャンプを抜け出し、友達とヒッチハイク!するも旭川からかえってこられず補導される(笑)一生の友達が出来た
一か月間大自然の中で過ごすという衝撃と高揚感もあり、キャンプ参加の1年目からノリで「旭川にヒッチハイクで行ってみよう!」と友達8人で話し、滝上から100キロ以上ある旭川にはなんとかヒッチハイクで無事につけたのですが、帰りが大変だったと話します。「都会(旭川)に行く車はあれど、田舎(滝上)にピンポイントで向かう車は捕まらず(笑)自分たちの安否を伝えるために滝上にいるキャンプ場の仲間に旭川市内のガソリンスタンドから電話をしていたところ、警察に通報されてました。護送車に全員で乗り、警察署に連れていかれました。その日は、キャンプ主催者の知り合いの家に泊めてもらい、翌日滝上から迎えに来てもらいました。まさに真夏の大冒険という感じで本当に子どもの自分たち兄弟にとっては衝撃的な時間でした」
その後、毎年夏は兄弟で参加する恒例行事になり、月日が経った中学3年時、滝上町でキャンプのスタッフなどで働けたら楽しいなと考えましたが、両親に「さすがに高校は行ってほしい」と言われたため都内の高校に進学しました。高校はバスケ部に在籍し、楽しい毎日は過ごしましたが毎年欠かさずこの滝上のキャンプには参加しました。
「夢は滝上に住むこと」バイト生活と国内外の旅行をしながらもお金をため、滝上に移住を決意。
高校卒業時も藤村さんの”北海道の大自然の中で暮らしたい。滝上に住みたい”という考えは変わらず、そのためにはお金を貯めなければいけないと考え、春と秋は内装業の運搬などのバイトをし、冬は長野県でスキーのレンタル業のバイトをして資金をため、夏は滝上のキャンプを心から満喫するという“北海道と東京を行ったり来たりの二重生活”を数年間行っていました。滝上に移住したいい気持ちはありましたが、仕事面の不安などをぬぐい切れず、21才でまずは札幌に移住し、バイト生活で生計を立てました。時間が出来たらタイやネパール、ラオスなどで山や海などの大自然をめぐる旅をしながら、夏は滝上のキャンプに参加していました。少し資金的にも目途がついた24才についに夢のの滝上町移住を決意し、子どもの頃からお世話になっていたキャンプ場のボランティアでスタッフをやりながらこの地で暮らし始めました。滝上町では農業のバイト等をする傍ら、旅行で訪れたタイなどで仕入れてきた雑貨を道内の催事場やギャラリーなどで販売する“輸入雑貨さばいでぃ”を経営して生計を安定させつつ、夏は一か月森の中で生活をしていました。「輸入雑貨の経営はとても楽しかったです。行ってみたい国に行って旅行をしつつ、雑貨を仕入れて、日本で売るという生活でしたし、実は結構この国外雑貨が売れたんです。ただ、せっかく滝上町に引っ越してきたんだから、滝上町のモノを売るなどしてもっと滝上の良さを広められないか?と考えたのが、今の仕事に繋がっていると思います」
滝上町は和ハッカ(ミント)の生産日本一だった。これを知ってもらいたいし、売っていきたい!
「このころ、滝上町は日本一の和ハッカの産地でありながら全然世の中に知られていないと感じていて、最初は和ハッカ商品を売っていきたいなと考えて、農家さんを訪ねたんですが意外な答えが返ってきました。『和ハッカの売り先がある程度決まっているため和ハッカの余りがない。せっかくなら作ってみたら?』と先輩の農家さんに言われたのです。この言葉がきっかけで2009年、滝上町に移住してきてから10年目にして34歳の時に生産者側になりました。最初は知り合いの農家に土地を貸してもらって数年やっていましたが、2013年ころ、子どものころから慣れ親しんだキャンプ場の隣のスペースが空くということを耳にして、自分の畑として借り、就農し、かけだし農家としての生活が始まりました。いざ農家として始動してみると、大変なのはある程度想像していましたが、とにかく農作業は大変でした」と話します。現在6反(0.6Ha)の農地の管理をしていますが、とにかく地道な作業の毎日です。初夏からひたすら草取りを手作業で行います。この草取りをさぼると、栄養が和ハッカに行き届かないので生育にも影響しますし、収穫の際も雑草が混ざると品質に直接が影響がでます。夏の終わりから秋にかけては、収穫で、こちらも手作業で行います。「これを一人でやるとなるととても大変というかおそらく無理なのですが、滝上のキャンプで知り合った若者たちがこの時期は収穫の手伝いに来てくれるので本当に助かってます」と話してくれました。
とはいっても、和ハッカ農家だけでは経済的にも不安定な部分もあるため、設備屋での仕事もこなしながらという二足のわらじで多忙な日々ではありますが、築100年の愛家で楽しく時間を過ごしています。
農家にとどまらず、商品開発などを通じて多くの人に知ってもらいたい!(株)和ハッカ・ラボを設立。
「就農してから2~3年後には、そもそも考えていた“滝上を広めるような商品を作りたい”と考えいろいろと役場などとも連携したいと行動に移している際に、滝上町での和ハッカ栽培を背負ってきた瀬川さんが『これからは若い力だったり、発想の時代だから頑張ってやってみたらいい』という言葉をかけられ、とても嬉しかったのを覚えてます」と当時を振り返ります。2021年には、先述の瀬川さんの息子さん(和ハッカ農家)ら和ハッカ農家3件と商工会の指導員の協力を得て、株式会社滝上町和ハッカ・ラボを設立。農家単体ではなく、横の連携しながら生産をしつつ、世の中のニーズに合った商品開発なども手掛けることで“日本一の生産量を誇る滝上町の和ハッカ”というのをどんどんと広めていっている最中です。現在、ルームミストが看板商品にはなっていますが、まだまだ目標に向かっている最中です。企業とのコラボや広報を代表としてしつつ、農家としての農作業もあるのでこの辺のバランスが大変です。
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夢を叶え滝上に移住。とにかく滝上の和ハッカを広く知ってもらいたい。農家&ラボ代表として邁進
国産の和ハッカの価値も徐々に向上していて、価格が15年前に比べ約3倍になりました。国産の和ハッカの価値を広められていると同時に、今後はさらに”国産和ハッカの価値”の創造を一緒に考えてくれる企業やお客さんを中心に広めていきたいと考えています。
「僕自身、子どもの頃に衝撃的な出会いから滝上に魅せられ、滝上に住むという夢をかなえられました。現在は滝上和ハッカを滝上町と連携して芝桜に次ぐ観光資源として、そして自他ともに認める日本一の和ハッカ生産地として、誇りをもって育てて商品開発していくことで、滝上町に移住させて頂いた恩返しになると頑張っています。そして大変なこともあるけど、これも自分で選んだ道なので楽しみながら生活しています」と笑顔で話してくれました。
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