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【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㊷生活協同組合コープさっぽろ 執行役員組織本部長・緒方さん~日々の生活に隠れているヒントを源泉に。人生の大切な要素となる”楽しい”という感情を武器にして地域の暮らしを支え続けたい~

【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」㊷生活協同組合コープさっぽろ 執行役員組織本部長・緒方さん~日々の生活に隠れているヒントを源泉に。人生の大切な要素となる”楽しい”という感情を武器にして地域の暮らしを支え続けたい~

えぞ財団 2024年5月2日

もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、緒方恵美さん。

緒方恵美:1969年兵庫県伊丹市生まれ。北海道造形デザイン専門学校卒業後、映像制作会社や旅行雑誌制作会社での勤務を経て、2014年に生活協同組合コープさっぽろに入協。同社では子育て支援室広報室長を皮切りに、現在は執行役員組織本部長および組織本部広報部部長を兼務。その他にも株式会社コープメディアの代表取締役も務める。趣味はオールジャンルの映画鑑賞。
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転機は小学校3年生。「自分の性格が好転した瞬間を体感しました」


兵庫県伊丹市生まれの緒方さん。伊丹市は国内でも有名な都市型空港がある場所のため、周りからはよく伊丹について聞かれるそうですが、実は3歳の頃に家族の転勤で広島県呉市に引っ越し、さらに小学校入学前に札幌へ引っ越しをしたため、札幌以外の記憶はあまりないと話します。
また、幼少期は2つ年上のお兄さんの後ろをついて歩いたり、家の中でお兄さんと楽しく話をしている記憶が鮮明に残っているとか。そんな緒方さんが改めて幼少期を振り返ってくれました。「のちに母親から聞いて思い出したのですが、小学校3年生くらいまでは非常におとなしい性格だったようです。しかも『おとなしい』というよりは『無気力・無関心』という言葉の方が当てはまるかも。超人見知りで授業中にあてられても絶対に答えないし、声をかけられたら泣いてしまうほどの。ただ、今それを話しても誰も信じてくれないのですが…(笑)」
一方でその頃日本では、人口増加に伴い子どもたちも増えていたため、各地区で学校が新設されることが多い時代だったとか。そのため、緒方さんが住んでいた地区でも小学3年生になる1978年に札幌市立三角山小学校が新設され、その小学校に移動したことがきっかけで、緒方さんの性格が一変したそうです。「転校して良い意味で環境が変わって、とっても明るくて社会性やカリスマ性を備えている友達ができたんです。その子が私を大きく変えてくれました。あの時の感覚は本当に覚えてます。すごい出会いというか、『人ってこんな風に変われるんだ』って体感したんですよね。それに今思うと、転校先の小学校はずば抜けて最先端の学校でした。例えば、月に1回は1年生から6年生でグループになって登山したりとクラス以外の人たちとの交流が多かったり、体育に『表現』というカリキュラムがあったり、給食に地元で採れた野菜を使ったオリジナルメニューがあったり、『三角山音頭』を作ったりなどなど。全国の学校から先生たちが見学に来ていた記憶もあります」
当時は周りの学校と比較することがなかったため、自分が通っている学校生活が一般的な形だと思っていたそうですが、大人になって振り返った時に先進的な学校だったと気付いたといいます。そして“教科書通りに習うというより、自分たちで考えて作って勉強する”ということが多かった小学校生活が現在の緒方さんの土台にもなっていると笑顔で話してくれました。



今だから言える、進路を決めた本当の理由


小学5年生の頃にミニバスケットボールのチームに入ってからは中学3年生までバスケをしていたという緒方さん。そんな中で進路を決める時期になった時のことを話してくれました。「三者面談とかで『なぜその高校を志望するのか?』と聞かれても『ただ行きたいからです!』で突き通していたのですが、実は当時大好きだった人の志望校だったんです(笑)恥ずかしかったので当時は言ってなかったですけど、他に理由はなくて。今はもう一周回って面白いですよね。とにかく『いかに楽しく過ごすか』を考えていたんだと思います。周りとは違う進路の決め方だったかもしれないですが『楽しいか・楽しくないか』という判断基準は今でも同じです」
その後見事志望校に入学し、プライベートをより楽しくするためにバイトを掛け持ちしながら高校生活を過ごしたという緒方さん。勉強に加え、好きなことを両立するために駆け抜けていた青春時代の臨場感が伝わってきました。「入学してからもどうやって毎日楽しもうかをひたすら考えていたので、勉強というよりは『服を買いたい!』とか『ライブに行きたい!』という思いがとにかく強くて。それで喫茶店とファストフード店で土日も関係なくバイト三昧でしたね。特に当時デザイナーズブランドが流行っていてので、ファッション誌の『オリーブ』をみて、おしゃれするのが楽しくて。なので勉強にはあまり力を入れられていなかったのですが、美術の成績はすごく良かったんです。それでデザインの専門学校に行くことを決めました」



ふと気になった4プラのCM。好奇心のままに突撃したことが功を奏した学生時代


高校卒業後は北海道造形デザイン専門学校に入学した緒方さん。しかし、入学した直後に方向転換することを決断したとか。「専門学校に入学するものの、1か月後くらいには周りと自分を比較してしまって…『あ、なんかだめだ。違うかも』ってなったんです。周りのレベルが高く、デザインが上手な方が多すぎて圧倒されてしまったんですね。それで『自分は何ができるかな』って改めて真剣に考えることに。そしてその頃4プラのCMが流れていて、急に『4プラのCMを作っている会社に入りたい!』って思ったんです。それですぐ先生に相談したら、卒業生がその会社にいるということを聞きまして。求人募集をしている様子はなかったのですが、作品集を持参して突撃しました(笑)」
その後希望が叶い、専門2年生の秋頃から映像制作会社である株式会社モーニングでアルバイトをすることが決まった緒方さん。デザインの勉強を続けながらCM制作の現場にも携わる日々が始まり、この会社で働いたことがきっかけで緒方さんの人生の幅もさらに広がります。「後から聞いた話によると、映像制作は力仕事が多いので男性が多くて、私はアルバイトだしすぐに辞めるだろうと思われていたみたいなんです。それに社長は突撃した際を思い返して『なんで募集もしていないのに来たんだろう。驚愕な出来事だったよ』と言っていました(笑)でも私はすごく楽しくて続いていたんですよね。それで卒業と同時にそのまま社員として入社をさせていただくことになりました。嬉しかったです」

自信を取り戻すためのターニングポイントとなったカナダでのワーホリ生活


20歳で専門学校を卒業し、社員として働き始めた緒方さん。働いて2年が経った頃には同い年の新入社員が入社してきたといい、そのタイミングがまた緒方さんの転機となったと話します。「専門卒なので周りよりも早く社会に出て楽しく働いていたのですが、大卒の同い年の方が入社してきた時に『自分とレベルが違うな』と感じて、なんか劣等感が出てきて。それで考えた結果、カナダにワーキングホリデーに行くことを決めたんです」
急遽カナダへ行くことを決め、新たなスタートを切った緒方さん。カナダではバンクーバーの語学学校に2か月間通い、その後はバンクーバーから車で4時間程度の場所にあるカムループスという都市でアルバイトをしていたそうです。その当時の様子を振り返ってくれました。「バンクーバーもとても良かったのですが日本人が多いので英語力を身に付けるために場所を変えました。カナダに行ったら向上心が自然と高まったんだと思います。カムループスという場所は、日本でいうタウンページみたいな電話帳で調べて、突然電話して『働きたいです』って伝えたんです。そしたら快くOKしてくれて。乗馬場のアルバイトだったのですが、居住用にトレーラーハウスまで用意してくれて、最終的には7か月くらい働きました。ある意味孤独も味わうことができたし、仕事もたくさん任せてくれたりと充実した毎日で本当に楽しかったです。それに『アニマルセラピー』をやっていたので言語がわからなくても役割を与えてくれました。そうしているうちに日本で抱いていた劣等感みたいなものが綺麗に消えたんです



ぶらり旅を通して身に付けた”たくましさ”と”寛容力”


当初予定していたワーキングホリデーの期間は1年間だったそうですが、その後も延長することを決め、トータルで2年半の期間を海外で過ごした緒方さん。語学学校やアルバイト以外にも旅行にもたくさん行ったと語ってくれました。「最終的に1年くらいは旅行をしていましたね。パンと牛乳だけ持って、ぶらり旅みたいな感じで友達と車で色んな所に行きました。旅の途中では、人通りがほぼない所でパンクしちゃって『え、これどうしたらいいの?英語で直すってfixだよね?』みたいな感じで映画のような経験をしたり。結局はこういう経験のおかげで『なんとかならないことはない』と体感しましたね。その他はホストファミリーにもらった聖書のおかげで助かったこともありました。もらった時はわからなかったのですが『これがあると助けてもらえるから』と言われていたので持ち歩いていたら、旅行でお金がなくなった時に教会に行くと炊き出しの食事をいただくことができて。当時は24歳くらいだったんですが、すごい経験ができたなとしみじみ思います
日本で生活していたら味わうことのできなった経験をし、帰国日を迎えた緒方さん。帰国後は以前働いていた映像制作会社に挨拶に行ったと話します。「とてもありがたいことに、モーニングでまた働かせていただけることになったんです。劣等感が消えていたので、そこからは自分の意志で決めるようになって。『きちんとやることをやれば、できないことはない!』という自信もついていたり。ワーホリ前と同じ仕事内容なんですが、より楽しさを感じるようになっていました」
そんな中、プライベートでも嬉しい変化があった緒方さん。25歳の時には結婚することを決め、新たなスタート地点に立つことになったと話してくれました。「実は夫の転勤で結婚と同時に釧路に行くことになったんです。それで会社に相談しました。そしたら社長がリクルート出身で、さらにちょうどリクルートが運営している旅行専門雑誌の『じゃらん』が創刊された時期だったんです。そしてご縁が繋がりまして、入社することに。『じゃらん』の読者は札幌の方が多いので、私が道東の釧路に住むことがプラスに働きました。仕事だけれども毎日ドライブして取材して特集組んでという流れが本当に楽しくて。自分の判断で開拓して仕事を任せてもらえるという社風もあり、どんどん仕事が面白くなりましたね
それから約4年半の期間をリクルートで過ごしたという緒方さんですが、32歳の時にまた札幌に戻ってきたと話します。「札幌に戻ってリクルートで働き続けるという選択肢もあったのですが、再び前職のモーニングの方からお声がけいただいたんです。学生時代からお世話になっていて、何度も自分の決断を応援してくれていた方々だったのでこんなにありがたい機会はないと思い、3回目の入社を決めました。また、その頃は社会人経験が長くなっていたこともあり自分の意見をはっきり伝えたり、向上心を持って『楽しい仕事をするにはどうしたらよいか』を常日頃考えてられていたので、取引先の方にも直接意見を伝える機会もいただけたり。そういう中で現在の職場であるコープとの出会いもありました

「何かを達成するための過程は自由でOK」何でも挑戦できる環境に感謝


最終的に映像制作会社であるモーニングではトータルで約10年働き、モーニング卒業後の2014年より生活協同組合コープさっぽろで働き始めた緒方さん。さらにプライベートでは出産や子育ても経験したため、母親としての目線も加わり、より自身のキャリアを成長させることができていると話します。「42歳の時にコープに入社しまして、最初は子育て支援室広報室長としてスタートしました。子育てを経験する前は『食』や『環境』については正直どこか他人事という感覚があったのですが、母親になると本能的に『子どもには美味しいものを食べさせたい』と思うようになって。それに上司が言っていた『一番は家族とか周りが幸せになる形をつくること』という言葉もヒントにさせていただいて、様々な事業に携わらせていただいています。北海道で生産されたものを相互扶助という形で全方位に発信できるのが私たちの強みであり、役割だと考えています
その数年後には広報室室長として働き始めた緒方さん。元々社内には広報室がなかったこともあり、仕事内容は想像以上に多岐に渡っているそうです。「『広報』と言っても仕事内容は一般的な広報の領域ではないかもしれないです。それに課題が発生した際『こうしたらもっと効率よくできるんじゃないでしょうか?』と上司に伝えると『そう思うならぜひやってみてほしい!』というような感じで、何でも挑戦させてくれるんです。最初は『え、こんなにできるの?やっていいの!?』という戸惑いもありましたが、非常にすごい団体だなと実感しましたね。おかげで日々アンテナを巡らせて考え続けていると関係ないことでも関連してきたり、自然と仕事に繋がるんですよね。そういう毎日を繰り返していると幸せなことに、周りの方が『こういうのどう思う?』って相談してくれるようになったんです。ちなみに今の私の夢は『web上でプラットフォームをつくること』。老いも若きもweb上でのコミュニケーションが必須になる時代を見据え、私たちができることにこれからも取り組み続けたいと思います」
“相手が抱えてる課題や困りごとを何気なくヒアリングして、双方が喜びを感じる繋がりを生み出す”というコープならではの広報の役割を見い出し、さらに現在は執行役員としても会社を支える緒方さん。昔から大切にされている“楽しいか・楽しくないか”という判断基準で創出され続ける今後の新たな展開もどうぞお見逃しなく♪





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