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  • 【えぞ財団】連載企画「この人、エーゾ」㊾ 株式会社atLOCAL代表 堀田悠希さん〜農家のお嫁さん、お母さん、会社代表、商工会理事、駆け抜ける士幌愛!〜
【えぞ財団】連載企画「この人、エーゾ」㊾ 株式会社atLOCAL代表 堀田悠希さん〜農家のお嫁さん、お母さん、会社代表、商工会理事、駆け抜ける士幌愛!〜

【えぞ財団】連載企画「この人、エーゾ」㊾ 株式会社atLOCAL代表 堀田悠希さん〜農家のお嫁さん、お母さん、会社代表、商工会理事、駆け抜ける士幌愛!〜

えぞ財団 2025年8月29日

もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、堀田悠希さん。

堀田悠希:1987年、帯広市出身。夫、6歳の娘、3歳の息子の4人家族。2012年24歳で結婚。ご主人の経営する「夢想農園」に就農。その後2016年に株式会社at LOCALを創業。母、農業、会社の代表として士幌町道の駅ピア21しほろを運営する。実家は中札内村の焼肉店「開拓村」。

「日本一、町民に必要とされる道の駅を目指して頑張りたい!」農家のお嫁さんが会社を経営し、道の駅を運営


株式会社at LOCALの代表として、士幌町道の駅ピア21しほろを運営する堀田さんは、常に笑顔なのがとても印象的です。「at LOCALという会社名には、この地域で、とか北海道で、士幌で、という意味合いも込められています。士幌町道の駅ピア21を卒業したスタッフが、また別の道で頑張っていたらまた一緒に仕事をしたり、出会いは繋がっていく」と嬉しそうに話してくれます。十勝で生まれた堀田さんが学生時代から築き、農園経営の夫と結婚し、子育てに奮闘、そして道の駅の経営。そんな周りから見たら”長多忙”な堀田さんを突き動かすのは感謝の気持ちでした。「食品で言えば、農家さんがちゃんと美味しいものを作ってくれているから美味しい。素晴らしい加工品を作ってくれる人もいる、私たちは地域の信頼をお借りして商売をしている。その感謝の気持ちを忘れずに、日本一、町民に必要とされる道の駅を目指して頑張りたい!」
ピア21しほろでは、新鮮な農産物やオリジナル商品はもちろん、地元食材をふんだんに使ったメニューであふれるカフェ、食堂、士幌町役場と連携しながらふるさと納税などまさに”士幌町の魅力発信の基地”となっています。

「人を束ねること、仲間づくり」が得意な堀田さんの原点は学生時代!


「フロンティアスピリット溢れる父の姿を見て育った。」と言う堀田さん。父、母、3歳下の弟、と4人家族で育ち、堀田さんが5歳の時、地元スーパーに勤めていた父親が一念発起し、中札内の森を開墾。そこで「焼肉屋をやる!」とセルフビルドで丸太小屋を建て「焼肉 開拓村」を開店そこから飲食店を営む経営者の娘になったのです。「私自身は家の外ではそんなに、グイグイと引っ張っていくようなタイプでもなかったし、子供の頃から家業である焼肉店の手伝いをするのは当たり前。小さい頃は、同級生にエプロン姿を見られるのが恥ずかしい気持ちもあったかな」と決して目立つタイプではなかったそうです。それでも父親の開拓精神がこの時にしっかり刻まれていたのかもしれません。「学生時代は率先して前に出る方ではなかったけど、気がつくと周りに人が集まっていたり、コミュ力は強かった」と話す堀田さん。中学生になると家業の手伝いもこなしながら、テニス部の部長に抜擢されます。当時は漫画「テニスの王子様」人気で男子のテニス部員も多く、男女まとめて31名を束ねました。その後帯広北高校へ進学、高校では部員が無く廃部になるかもしれない!という「琴部」の再建を試み、友人を集め0からお琴を練習。そして目標は高くなり全国大会を目指すようになっていました。気がつくと顧問の先生に「全国に行ける曲をください」と懇願し、本当に全国大会へ出場してしまったのです。こうして「人を束ねること、仲間づくり」が得意な今の堀田さんの活動の元となる体験がありました。


お婿さんを探していたはずなのに・・・かっこいい〜!!出会ってしまった運命の人


家業の手伝い、部活動と忙しい日々の中でも勉学もしっかりとこなしていた堀田さん。この頃になると将来は「自分で商売がしたい」という目標を持っていました。そのため進学先も指定校推薦で経済学科・経営学科のある武蔵女子短大へ進学します。そこで経営者スクールにも通い、目標の「経営者」になる準備をしていました。それは堀田さんが20歳の時、突然の悲しいお別れが訪れました。最愛の母親が亡くなってしまったのです。飲食店の商売をしていて、女性の手がなくなることの大変さ、落胆している父の姿、中学を卒業後すぐに自衛隊に入隊し家を出ていた弟。その時の環境から就活を一旦やめて「地元、実家に帰ろう」と決意します。飲食店の原点てなんだろう?と考えた時に根源は農家さんなんじゃないか。と思い農家さん巡りをしたら、感動してしまって。農業への興味関心が高まりJA中札内に就職しました」中札内農協では、総合職、つまり「なんでもこなさなければならない」職員として、枝豆の選果、催事、総務、経理、お取引先との窓口までありとあらゆる経験を積みました。「その最中でも、お昼休みには実家の焼肉屋のランチタイムの手伝いをして、また職場に戻ったりしてました!」と、今の堀田さんの忙しさと重なる2刀流、3刀流のスケジュールをこなしていました。中札内農協で仕事をしながら、実家の焼肉屋さんを継ぐために「お婿さん探し」をしていたある日、運命の出会いが訪れます。産直の販売などを行う催事の仕事先で「当時はまだまだ生産者さんが自ら直接販売するとか、今のように生産者さんの顔が見えるような仕組みがなかった。」そんな時代にいち早く「十勝アグリカルチャー・コミュニティーサロン・創造プロジェクト通称『crops』」を立ち上げ代表として活動する、堀田隆一さんに出逢います。そうです、堀田さんのご主人の隆一さんです。「イベントでオレンジ色のつなぎを着て、自分たちで生産した野菜を、自ら販売したり、料理したりする姿に“かっこいい〜”“おしゃれ!”と。」でもその時はすぐに仲良くなれぬまま時が過ぎます。しかし、その数日後イベントが新聞に記事として掲載され、そこに「代表 堀田隆一」の名前を見つけます。「当時流行っていたmixiを使って、私から連絡、ナンパしました!」なんと堀田さん、隆一さんがどうしても忘れられずに自らアタックしたのです。そこから互いに夢を語り合う内に堀田さんは24歳で「夢想農園に就農」することを決断します。





もっと一緒に農業を語れる仲間が欲しい!  「農と暮らしの委員会」創設


農協に勤め農業について学んでいた、と言っても実際に農家となり作業をすること、朝から晩まで働ける体力的なことも含め、自分の役割について悩んだことも。生産型農業から自立した農業経営を目指し、個別販売事業をスタートした時にはご主人のご両親に反対されながらも、新しい農業を模索したいと奔走、新たに始めたパクチーや水菜は、多くの飲食店でも反響を呼び、1年でしっかりと売り上げのたつ作物に成長しました。時には地域の人を畑に招き、一緒に刈り取りして、そこで料理を振る舞い採れたて野菜のおいしさを共有しました。こうして「農家の嫁」として奮闘する日々の中でもっと農業で女性のキャリアが活かせたり、もっと一緒に農業を語れる仲間が欲しい!と思っていた時、北海道若手農業者集団Links (リンクス)の事務局で美唄市のうちやま農園、内山さんの活動を知ります。そこで2014年に十勝で農業に関わる若手女性による「農と暮らしの委員会」を発足し農業後継者の女性、農家に嫁いだ女性、農業法人に勤める女性などさまざまな立場で女性農業者が情報交換できる場を作りました。ここでも堀田さんのコミュ力、人を惹きつける力が発揮されます。



結婚、起業、出産、で育んだ「愛」で苦境も乗り越える。会社代表に!


ご主人と夢想農園で奮闘していた2016年、士幌町道の駅が移転リニューアルすることが決まり「新しい道の駅の運営は民間に委託する」というニュースが飛び込みます。当時の堀田さんは、先に紹介した「農と暮らしの委員会」の活動等で地元新聞に登場するなど、地元の若手農業者はもちろん一目置かれる存在になっていました。そこには夫、隆一さんが繋いでくれた縁があると言います。これまでの体験や、ご縁から地元士幌町への想いはさらに強くなっていた堀田さん。道の駅リニューアルのニュースを聞いた時も隆一さんと二人、旅先で海を眺めながら「ゆかりのない事業者が運営してしまったら、士幌らしさのない道の駅になってしまうかもしれない。それなら自分たちがやってみようか」と話したと言います。二人の気持ちは同じ未来を見据えていました。表舞台に出ることが多い堀田さんですが、大好きな隆一さんと「同じ夢、方向を向いている」からこそ、頑張れると話します最近の堀田さんのSNSにも隆一さんの畑仕事の様子がアップされていたり、互いにリスペクトし合える様子が伺えます。そして同年株式会社at LOCAL.を創業、2017年に士幌町の新しい道の駅として「道の駅ピア21しほろ」がオープン。「思いが強すぎて仕込みに四苦八苦したり、こだわって作るとどうしてもコストが上がってしまい、価格で苦言を言われたこともありました。でも、これからの時代は消費者の人がちゃんと商品のストーリーを知って、選択できる時代になる。だからこそ、納得のいく妥協のない商品を提供したい。」思いを込めながら奮闘する中、2019年長女を出産お母さんになります。
母親、農家の嫁、会社の代表と堀田さんはさらに多忙を極めていた2020年、新型コロナウィルスが猛威を振るい観光客はもちろん、人が集えない状況が続きました。苦戦する中でも、時間ができたのなら普段できないことをしよう!と改めて士幌町内の商店街の魅力発信する冊子を作ろうと、オンライン大学の学生に向けてインターンを募集し、「ミルシルしほろブック」を発行。その際、一般社団法人ドット道東にもバックアップしてもらい、町民にも喜ばれる冊子が出来上がりました。どんな状況でも堀田さんの仲間と育む「十勝・士幌愛」は歩みを止めることはありませんでした。







「仲間と共に地域を作っていきたい」夢はまだまだ続く


誰かの力になれるのなら・・・と引き受ける役割は年々増えています。2020年からは士幌町商工会初の女性理事を務め、帯広市内「北の屋台」での理事、学生向け出前授業の講師など多忙な日々の中でもさらに人と繋がり、学び、自分を必要としてくれるなら頑張りたいという堀田さん。2022年には長男も産まれ、長女はすっかり片腕になっていて、そんな娘さんにも感謝しているそうです。道の駅ピア21しほろでは、スタッフと同じように配膳から片付け、レジ打ち、調理と常に動き回っている堀田さん。その様子を眺めていると、お客様が「ゆきちゃん!今日は暑いねえ」「ゆきちゃん、これ新しい商品かい?」と声をかけています。そしてat LOCALのスタッフとの会話の時間も多く設けられていて、みんなが意見を出し合っています。そうした雰囲気作りができるのも堀田さんならではのお仕事、なのかもしれません。これからもそんな風に地域の人と、仲間と共に「地域を作っていきたい」堀田さんの夢はまだまだ続きます。





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